JR東海、田代ダム取水抑制案で流域市町に理解を求めようと調整⇒静岡県「個別に接触しないように。県を窓口に」
リニア中央新幹線の着工を巡り、静岡県が取り付く島もない態度を示し続けている。水問題を巡っては、静岡の川勝平太知事が工事中に湧き出た水の「全量戻し」の要求から一歩も引かず、JR東海が代替案として、大井川上流部の田代ダムの取水抑制をして川に水を還元することを提案。水利権を持つ東京電力側は、協議に入る条件として、県や流域市町など関係者の了解を取るよう求めた。JR東海は大井川流域市町などと協議を調整に入ったのだが、またしても静岡県の茶々が入った。静岡県は市町などと個別に接触しないよう苦言を呈したという。
静岡県が県内工区の着工を認めないリニア中央新幹線を巡り、JR東海が主要論点となっている大井川の流量維持策として有力な上流ダムの取水抑制案の実現に向け、流域市町などと調整に入ったことについて、同県は9日、市町などと個別に接触しないよう苦言を呈する回答をした。その上で流域市町などでつくる大井川利水関係協議会の場で改めて説明するよう要請した。
水資源問題解決に向けた早期の取り組みを求める声が相次ぐ中での県の対応に、関係者は「引き延ばしとしか思えない」と話す。
取水抑制案を巡っては、工事中に湧き出た水の「全量」を大井川に戻すよう県側が要求。JR東海は代替策として、上流部の田代ダムの取水抑制をして川に水を還元することを提案。水利権を持つ東京電力側からは協議に入る条件として、県や流域市町など関係者の了解を取るよう求められたため、JR東海はそのための動きを開始していた。
県による回答文書では、県が事務局を務める同協議会の規約で、JR東海に市町などとの個別交渉を「遠慮するよう」求め、窓口の県を通すよう要請していることを確認。協議に入ることへの是非については触れなかった。
JR東海は2月28日に口頭で県側に了解を求め、今月1日に県は文書を出すよう要請。そのため、同社は8日に文書で了解を求めていた。
川勝氏は9日のコメントで「水利権に関することは極めて慎重に関係者で協議すべきもの」と指摘。JR東海に「一方的な通告ではなく、双方向のコミュニケーションによる真摯(しんし)な対応を強く要請する」とした。
一方、県設置の有識者らでつくる専門部会は、これまで問題の解決に向けてJR東海が東電側の確約を早期に得るよう求めていた。
また、昨年10月に県の難波喬司理事(当時)は、流域市町から「JR東海との対話機会が少ない」との声が上がっていたことについて報道陣から問われ、「JR東海が各市町に行くことについて、私たちが止めているわけではない」「接触するのはいいことだ」などとも述べていた。
川勝知事と静岡県のリニア工事阻止がどんどん露骨になってきた。それに伴い、静岡県と大井川流域自治体との意見の食い違いも発生してきている。地質調査を巡っては大井川流域自治体が賛成の意見を次々と出したにもかかわらず、川勝知事は猛反対をしている。
ぶっちゃけた話、この水問題の当事者は県というよりも、大井川流域の市町だ。その自治体がOKといえば、県は問題はないはずだ。どうせ県を通してもまともな協議ができないのは目に見えている。流域市町がJR東海に理解を示すのを恐れて阻もうとしているとしか思えない。
そもそも川勝知事は「流域住民の理解も必要」「住民の理解が得られなければルート変更を」と主張していたではないか。その言葉通り、JR東海は流域市町と協議を行い理解を得ようとしている。だったら県がしゃしゃり出てくる筋合いはないのではないか。
ネット上には「とんでもない知事だな…。当事者が合意できるならそれ以上は無いだろう。なんで、関係ない人間が目立つ必要がある?」「「地元市町に丁寧に説明しろ」と言いつつ、「地元市町に接触するな」だと?結局、何にしろ文句つけたい静岡県の姿勢がよく分かる事例」「静岡県側の二枚舌ここに極まれりですね。個別に地元への説明を求めながら、接触に対して苦言とは。どう考えてもおかしいです」「結局、知事が自分の思い通りにしたいだけです。このリニアでの静岡県の反対ありきの対応は目に余ります」といった意見が投稿されている。