共産党の演説会に「アンパンマン」登場も、権利者「個別の政党や政治活動への使用許諾はしておりません」
日本共産党が18日に三重県津市の津駅前で演説会を行った。三重県議選の女性候補や、田村智子参院議員らが参加したそうだ。そこに駆け付けたのが「アンパンマン」だったという。これが物議を呼び、アンパンマンの使用許可はどうなっているのかなどの声がネット上であがった。
アンパンマンの権利は、日本テレビ音楽株式会社および株式会社やなせスタジオなどに帰属するとされているようだが、権利者は「アンパンマンの着ぐるみはいずれの場合も個別の政党や政治活動への使用許諾はしておりません」と答えたそうだ。
日本共産党の演説会で、人気キャラクター「アンパンマン」の着ぐるみが踊っている様子を映した動画が、インターネット上にアップされて、著作権侵害ではないかと問題視する声があがっている。
これらの動画は、三重県津市の党所属市議が自身のTwitterに投稿したものだ。
アンパンマンの権利者である日本テレビ音楽株式会社は3月24日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「アンパンマンの着ぐるみはいずれの場合も個別の政党や政治活動への使用許諾はしておりません」と答えた。
日本共産党中央委員会も「誤りに気づき直ちに削除したと報告を受けております」と回答した。
●県議選女性候補の名前コールに右手を突き上げる「アンパンマン」
アンパンマンの着ぐるみが登場したのは、3月18日に津駅前(津市)でおこなわれた演説会。4月9日投開票の三重県議選の女性候補や、日本共産党副委員長の田村智子参院議員らが参加した。
津市の中野裕子市議がTwitterに複数の動画を投稿した。市議のSNSからは削除されているが、ネット上には現在も残っている。
演説会開催前に、弁士らが演説するバスの前で、アンパンマンの着ぐるみと音楽にのって踊っているところが映っている。また、演説会の中で、県議選の女性候補の名前が連呼されるのに合わせて、アンパンマンの着ぐるみも勢いよく腕を上下させていた。
中野市議は動画とともに「楽しくなってアンパンマンと一緒に踊りました」などと投稿していた。
また、バスの上にいた候補や田村議員からも着ぐるみは目視できたはずだが、何か問題にする様子はなかった。
このような動画に「アンパンマンが共産党支持とは初めて知りました。アンパンマンの使用許可はどこのどなたに取られたんですか?」などと疑問を呈する声がネットに広まった。
●投稿した市議から回答なし
アンパンマンを政治活動に利用したとも受け取られていることを受けて、弁護士ドットコムニュースでは、着ぐるみを演説会に連れてきたのは誰か、また目的や経緯、中に入っている人の素性などについて、党本部や中野市議に問い合わせた。
中野市議から回答はなかったが、日本共産党は3月23日、以下のように答えた。
「当該案件は、誤りに気づき直ちに削除したと報告を受けております。善後措置については、現地関係者が処理いたします」
何が「誤り」だったのか重ねて説明を求めたものの、回答はなかった。
●「アンパンマンの着ぐるみは個別の政党に使用許諾していない」
アンパンマンの公式サイトでは、「それいけ!アンパンマン」の商品化・プロモーション利用などに関する権利は、日本テレビ音楽株式会社および株式会社やなせスタジオなどに帰属するとされている。
日本テレビ音楽株式会社・商品化ライセンス部は、弁護士ドットコムニュースの取材に「今回いただいたご質問につきましては権利各社の方針により個別のご質問につきましては対応しておりませんため回答は控えさせていただきます」とした。
一方で、「アンパンマンの着ぐるみはいずれの場合も個別の政党や政治活動への使用許諾はしておりません」とも答えている。
ネット上には「共産党が公職選挙法に違反していることは数々ネットに証拠があがっており、私も目の当たりにしていますが、その他も点字ブロックを遮って演説したり、本件も合わせて遵法精神がないですよね」「「誤りに気づき削除した」今回の問題は動画をアップした事ではなく、キャラクターを無断使用した事。削除は問題解決では無い。何故、無断使用してしまったのか、その経緯と原因、再発防止策を党としてしっかり検証すれば良いのではないか」「共産党は説明責任を要求することは頻繁に行うが、説明責任を果たすことはない」「政党の人間が無許可で、人気のアニメキャラクター(アンパンマン)を政治利用することについて、何も知らなかったなどと言う言い訳は通る訳が無いこと位は知っていたでしょう。つまり、わかっていてわざとやっていたということ。法律をきちんと守る事の出来ない政党が偉そうな態度を取られるのは不愉快です」といった意見があがっていた。
志位委員長はしっかりと説明責任を果たすべきだろう。