【リニアに光明か】静岡市長選に「リニア推進」の難波元副知事が当選。県議選では川勝知事に近い会派が4議席失い、不信任案可決に近づく?
任期満了に伴う静岡市長選は9日投開票され、元静岡県副知事の難波喬司氏が初当選した。難波氏は川勝平太静岡県知事が静岡工区の着工に反対するリニア中央新幹線をめぐり、「推進」を表明していたことで、リニア着工の期待が寄せられる。
4月9日に投票がおこなわれた統一地方選挙。保守分裂の奈良・徳島県知事選や、直前の不倫騒動に揺れた神奈川県知事選などが注目を集めたが、それらとは違った意味で関心を持たれていたのが、静岡市長選だ。
静岡市長選には、静岡県の副知事だった難波喬司ら3人が立候補。難波氏と元県議・山田誠氏の一騎打ちと見られていたが、全体の58%の票を集めた難波氏が圧勝した。
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難波氏は出馬に先立ち、自らの政策を会見で発表。そのなかで、リニア事業に関して、
「沿線自治体のほとんどが賛成し、すでに事業がおこなわれている段階。その推進に影響力がある首長は、個人としてリニア事業についてどのような価値判断をもっていたとしても、行政判断としてはリニア事業の推進に協力すべきである」
と、名指しこそしないまでも、川勝氏の姿勢を批判し、リニア推進の立場を明確にしている。
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SNSには、
《静岡県は1秒でも早くリニア工事を認可してほしい》
《リニア着工の推進期待しています。川勝の暴走を止めましょう》
と、期待する声が。「川勝包囲網」は着実に築かれつつある。
ただ、ややこしいことに川勝知事も「リニア全線開通に反対する理由ない」と中部圏知事会議の場でリニア推進を表明している。そして、問題は大井川の水問題だ。リニアは静岡市を通るが、水問題については大井川の問題なので静岡市は蚊帳の外なのだ。田辺市長時代もそういうことから静岡市は議論から除外されてきた。難波市長になっても水問題について静岡市が議論に加われるかは不明だ。
ただ県議会選を見ると、川勝知事に近い会派「ふじのくに県民クラブ」は改選前より4つ議席を減らし、自民党は全体で改選前より1議席減らしたものの、単独過半数は維持している。自民・公明を合わせた議席は43。全体の4分の3にあたる51議席を超えると知事の不信任決議案を可決することができる。両陣営が会派に所属していない議員や新人議員を取り込むことに必死になるだろう。2021年の知事不信任案を巡っては、可決にはあと3人足りなかった。「ふじのくに県民クラブ」から3人離反させなければいけない状況だったが、今回の選挙で「ふじのくに県民クラブ」は4議席を失った。会派に所属していない議員や新人議員の数は12人で、この中から9人を自民が取り込めば川勝知事の不信任案が可決されることとなる。
地方自治法・第178条によると、可決には議員の3分の2以上が出席し、うち4分の3以上の賛成が必要。可決されれば首長が10日以内に辞職するか、議会を解散しなければならない。