山梨県・長崎知事、静岡県の主張に「そもそも静岡の水とは何か」「富士川の水は、長野県と山梨県が源泉だが、長野と山梨の水か」
静岡県が「静岡側の地下水が山梨側に流出する恐れがある」として、リニア中央新幹線のボーリング調査の中止を求めていたが、山梨県の長崎幸太郎知事は5月26日の定例会見で「リニアに関連する課題や悩みがあれば(沿線の都府県で構成する)建設促進期成同盟会で議論すべきだ」との認識を示し、今後、ボーリング調査についても同盟会での協議事項にしていくことを提案した。5月31日開かれたリニア中央新幹線の早期整備に向けた自民党の特別委員会では「現時点で水資源への影響は抽象的な可能性にとどまると評価せざるを得ず、調査はしっかりと進めて頂くようJR東海に対して求めていくべきと考えている」と述べ、引き続き調査を行うことに理解を求めていた。
そして、9日の臨時会見で静岡県の「静岡側の地下水が山梨側に流出する恐れがある」との主張に対して、「そもそも静岡の水とは何か。法的根拠を示さなければ議論に意味はない」と指摘した。長崎知事はさらに「源泉や水の出所によって、どこどこの水になるということなら、(静岡県に流れこむ)富士川の水は、長野県と山梨県が源泉だが、それが長野と山梨の水になるということか」と疑問を呈した。
山梨県の長崎幸太郎知事は9日の臨時会見で、リニア中央新幹線の南アルプストンネルのボーリング調査を、山梨県側に静岡県の水が流出する可能性があるとの理由で進めないよう求めることに対し、「そもそも静岡の水とは何か。法的根拠を示さなければ議論に意味はない」と述べ、静岡県を批判した。
山梨県側から静岡県との県境に向けて進めているボーリング調査をめぐっては、静岡県が「静岡側の地下水が山梨側に流出する恐れがある」として、県境300メートル以内では調査は進めないように求めており、7日の専門部会でもこの方針を維持した。
これに対し長崎氏は「どこどこの水ということを法的に明らかにしてもらう必要がある」として、その法的根拠がない中では、「山梨の水、静岡の水ということは、意味のある議論にはならない」と厳しく指摘した。
さらに「源泉や水の出所によって、どこどこの水になるということなら、(静岡県に流れこむ)富士川の水は、長野県と山梨県が源泉だが、それが長野と山梨の水になるということか」と述べ、静岡県の主張に疑問を呈した。
かなり踏み込んだ発言をしているが、それだけ静岡県の身勝手な主張を腹立たしく思っていたのだろう。
静岡県には天竜川が流れているが中~上流は長野県だ。流域面積でいえば大半が長野県だが、静岡県の主張の通りなら、天竜川の中~上流部は長野県の水と言うことになる。
極端な話、長野県が天竜川下流への取水制限を行い、愛知県側へ隧道でも掘って流しても、静岡県は文句が言えないということになる。もっとも、そんなことはありえない話だが、静岡の水を山梨に流すのは許さんと言い出せばこんな話もまかり通るということ。水はいずれは海向かうものなので、山梨県の水も長野県の水もいずれは静岡県を流れる。それなのに、静岡の水だとか山梨の水だとか言い合うのは不毛でしかない。ただ、リニア工事で山梨県に流出し、大井川へのルートが変わる恐れがあるということなので、その分を東京電力が大井川上流の田代ダムで取水している発電用の水を、工事による流出と同じ量だけ減らして大井川に還元する案をJR東海は示している。大井川流域の市長はこの案に乗り気のようだが、静岡県だけが受け入れようとしない。
長崎知事は当たり前のことを言っているだけだが、川勝知事の異常さが際立っているだけに、すごい正論を述べているように錯覚してしまう。