林官房長官と望月記者が応酬。望月記者「阪神大震災の教訓が全く生かされていない」林官房長官「過去の教訓が生かされていないという指摘は当たらない」
能登半島地震を巡る政府の初動対応について、林芳正官房長官と東京新聞の望月衣塑子記者が舌戦を繰り広げたそうだ。
望月氏は「阪神大震災の教訓が全く生かされていない」「初動で自衛隊の数が限られている。(林氏は)消防や警察も入れているというが、熊本地震での投入数より格段に少ないのではないか」と批判。すると、林官房長官は「発生当初から政府を挙げてプッシュ型での物資支援を行ってきた。過去の教訓が生かされていないという指摘は当たらない」と反論した(参考)。
左翼ジャーナリストはすぐ熊本地震と比較するが、7日の毎日新聞「自衛隊派遣、増員が容易でない背景 能登半島地震と熊本地震の差」の中に「対応を困難にした要因の一つが被災地の地理的な特性だ。自衛隊幹部は「陸の孤島と言われている半島での未曽有の震災。一番起きてほしくない場所で起こった」と振り返る」とあり、木原稔防衛相は主に平野部が被災した熊本地震とは条件が異なるとの認識を示したのだ。
しかも「さらに、熊本に比べ、能登半島には規模の大きな自衛隊の拠点がないという事情もある。熊本市には南九州全体を管轄する陸上自衛隊第8師団の司令部があり、1万人超の隊員が常駐している一方で、能登半島には航空自衛隊のレーダーサイトしかない。防衛省幹部は「アクセスが非常に難しい場所で、通信の状況も悪く、状況把握が難しかった。そのなかで非常にスピーディーに部隊投入ができた」と語り、初動に問題はなかったと強調した」ともあった。東京新聞ではこういった情報を入手しないのだろうか?
まったく状況が異なる災害を同一視し比較するなど呆れるしかない。阪神大震災も平野部だ。阪神大震災は当時の政権が無能なこともあったが、前例がとんどなかったため、対応が遅れた。経験さえ積んでいれば熊本地震のように多くの自衛隊員を早期の段階で一挙に送ることが可能だったはず。阪神大震災を受け、国や各自治体は震災対応を見直した。一方で、今回の地震のように、半島で、陸路も空路も海路もふさがっている状況で万以上の自衛隊員を一挙に派遣すれば渋滞を起すのは子供でも分かることだ。わざと言っているのなら、被災者を惑わすのはやめるべきだ。
しかも、望月記者は嘘もついている。
望月記者は17日に、Xに「自衛隊の派遣数は2週間が経ってもまた7000人だけ!」と投稿。
熊本市の職員が、熊本地震より数倍深刻と被害を訴えているのに、自衛隊の派遣数は2週間が経ってもまた7000人だけ!熊本地震の派遣数の3分の1にも満たない。
「熊本地震より数倍深刻」石川県珠洲市で支援活動した熊本市職員が状況を報告(KKT熊本県民テレビ)… pic.twitter.com/CrY85ZNaCN
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) January 16, 2024
しかし、木原防衛相は、16日の記者会見で「現在、自衛隊は約1万4,000人態勢をもって全力で震災対応に当たっております。」と述べている(参考)。望月記者が投稿する前日に木原防衛省は自衛隊員を約1万4,000人派遣していると発表している。いつの情報なのだろう?被災地の状況は刻一刻と変化している。その時リアルの情報を流さずに何が新聞記者だろうか。
林官房長官も望月記者と応酬した際に、「現在自衛隊が1万4千人態勢で活動している」と言及。その上で「災害の対応や地理的状況、被災地のニーズ等から単純に(派遣した自衛隊員の)規模だけで比較することは適当ではない」と理解を求めた。
タレントの誤情報が問題視されたが、新聞記者の周回遅れの情報も被災地にとって迷惑でしかない。