ICAN事務局長「日本は今こそ核の傘という誤った考えを捨て、条約に加わるべきだ」⇒日本が参加しないのは「核兵器保有国は1国たりとも参加していない」からです
「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長は21日、長崎市を初訪問。
パーク氏は、長崎原爆資料館ホールで講演。核兵器が使われる危険性が高まっているとし、核兵器禁止条約の重要性などを訴え、日本に加わるよう呼びかけた。
講演会には約200人が参加。パーク氏は、日本が同条約に署名、批准していない点を踏まえた上で、「条約は核兵器廃絶の出発地点である」と強調した。
その上で、「国際的に緊張が高まり、兵器が高度に発達し、核兵器が使われる危険性が高まっている」と指摘。「日本は今こそ核の傘という誤った考えを捨て、条約に加わるべきだ。核兵器を安全保障政策の一環として捉えている限り、核軍縮をリードすることはできない」と熱弁を振るった。
核兵器禁止条約に参加しない日本に対し、批判する人々は「アメリカの核の傘」のことをよく取り上げる。確かに理由の一つにあるだろう。そして、ICANも唯一の被爆国を参加させ、旗頭にしたいのかもしれないが、本当の理由はそんな事ではない。
岸田総理は、核兵器禁止条約について、これまで次のように説明している。
「核兵器のない世界という大きな目標に向け重要な条約だが、核兵器国は1国たりとも参加していない」条約には、アメリカやロシア、中国など、核兵器を保有する国々が参加していない。
そこに日本だけ加わって議論をしても、実際に核廃絶にはつながらないというのだ。日本としては、核兵器保有国と非保有国の双方が加わるNPT=核拡散防止条約の再検討会議の枠組みなどを通じて、唯一の戦争被爆国として双方の橋渡しとなり、現実的に核軍縮を前に進めることを優先する立場だ。
肝心なことは核保有国が参加するか否かだ。核兵器保有国が参加していない核兵器禁止条約は、まさに画竜点睛を欠く条約といえる。
それよりも、核兵器保有国と非保有国の双方が加わる、核拡散防止条約に力を入れる方が現実的というのが日本政府の立場だ。そして、隣国に中国、ロシア、北朝鮮と核兵器を保有する無法国家が存在する限り、日本は「アメリカの核の傘」に頼らざるを得ない。それだけ日本の安全保障環境は厳しい中にある。これが現実だ。日本は核を無くしたいという立場に変わりはないが、それは不可能とわかっている。核廃絶は理想だ。一方で、現実的なのは、核戦争を起させないことだ。これは均衡が保たれているから日本が唯一の被爆国ですんでいる。仮に西側諸国が核を手放したらどうなるだろ?考えただけで恐ろしい。
日本が核兵器禁止条約に参加したところで、核兵器が無くなるだろうか?絶対に保有国が手放すはずがない。それどころか中国は核を増強している。核を保有せず、専守防衛で、条約に参加しない日本を批判するよりも、核増強を進める覇権国家の中国を厳しく非難し、止めさせることが重要ではないだろうか。
ネットの反応
少し皮肉を言えば、この方はオーストラリアの出身で、短期間ながら同国の外務大臣も務めた方のようだが、そのオーストラリアも核兵器禁止条約の批准・署名をしていないはず。
ICANのジュネーブ本部のあるスイスは核兵器禁止条約に参加していない。