ついにメルセデス・ベンツも方針を撤回。「2030年完全EV化」から「さまざまな顧客ニーズに対応できる体制を整えていく」
ドイツのメルセデス・ベンツは2021年に、「2030年までに「市場環境が許す限り」ラインナップをすべて電動化する」計画を発表したが、撤回した。「2030年代まで」ハイブリッド車など内燃エンジン車の販売を継続するという。
ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)グループは、2030年までに「市場が許す限り」(同社)新車販売の全てを電気自動車(EV)にする計画を撤回した。2030年代もプラグインハイブリッド車(PHEV)などエンジンを搭載した電動車を販売する。各地域の排ガス規制に対応するため、新しいエンジンも開発しているという。2023年から続くEVの減速で、EVシフトに注力してきた欧米の自動車メーカーは戦略の見直しを余儀なくされている。
メルセデス「2030年完全EV化」撤回、新規エンジン開発中: … https://t.co/W1eDXOUGme
— 日経クロステック(xTECH) (@NIKKEIxTECH) February 26, 2024
「さまざまな顧客ニーズに対応できる体制を整えていく」「(EVへの)変革のペースを決めるのは、顧客と市場の状況」とのこと。
ついにメルセデス・ベンツもトヨタの方針に舵を切った。
EVを巡っては走行中に二酸化炭素を排出しないことなどから各国政府が支援を行っており、欧州や中国を中心に普及が進んでいる。そんな中、トヨタはEVに後ろ向きとの批判にさらされることもあったが、豊田氏は地域のエネルギー事情などに応じた取り組みが必要だとし、EVだけでなくHVなどを含めた多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」の方針を堅持している。
因みに、同じくドイツのBMWのオリバー・ツィプセ社長は「EⅤ一択ではなく全方位戦略」を提唱し、トヨタ自動車との関係を「水素関連などでより深めたい」と語っていた(参考)。
欧州連合(EU)も、2035年以降は内燃機関(エンジン)車の新車販売をすべて禁じるという方針を撤回している。
日本政府は2020年に「カーボンニュートラル宣言」を発表。「2035年までに新車販売で電動車100%を実現」とのことだったが(参考)、政府の指す「電動車」には、ハイブリッド車も含まれる。「電動車両は最も普及が進んでいるハイブリッド車(HV)をはじめ、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)が対象となる」とのこと(参考)。
マスコミは「日本のメーカーはEⅤ化に出遅れ」「遅れを取り戻せるか」などと報じていたが、何のことはない。完全EⅤ化が現実的ではないことを世界が気付き始めた。むしろ、世界が日本に追随し始めたと言っていいだろう。