深圳の男児刺殺事件巡り、垂前大使「(中国の)居直った対応、放置するな」
中国深圳で起こった日本人男児刺殺事件を巡る中国の対応について、前駐中国大使で立命館大の垂秀夫教授が「居直った対応を放置せず、米国のように強く訴える必要がある」と指摘。
中国広東省深圳で日本人学校に登校中の10歳男児が刺殺された事件を巡り、背景にある中国側の課題について、前駐中国大使で立命館大の垂(たるみ)秀夫教授に聞いた。
深圳日本人学校は2023年5月に訪れたことがあり、胸が張り裂けそうで、強い憤りを覚えている。
中国吉林省でも6月、米国の大学教員4人が刃物で刺され負傷した事件があった。「偶発的な事件」と説明する中国政府に対し、米国の駐中国大使は「透明性の欠如に不満を抱いている」と、捜査や情報開示の在り方を批判した。このような事件が発生した場合、中国側は常に個別の事案で片付けようとするが、こうした居直った対応を放置せず、米国のように強く訴える必要がある。
事件の背景として、経済成長の鈍化などによる社会の閉塞(へいそく)感が指摘されることがある。それ自身は正しいが、それだけでは今回の事件は説明できない。トリガー(引き金)となったのは、「137校(実際は11校)も存在する日本人学校は治外法権であり、対中工作のスパイが養成されている」など、日本人学校に関する悪意や誤解に満ちた交流サイト(SNS)にある数百本に上る動画だろう。私も大使時代、これらの削除を何度も申し入れてきたが、中国政府は対処してこなかった。一昔前、中国では抗日ドラマが流行していたが、今それに代わるのが反日動画、とりわけ日本人学校関係である。これを削除させていかないと、同じような事件が繰り返される恐れがあり、強く懸念している。
この件について、ある自民党総裁選候補は「あまり騒ぐな」と言いたいようだが、これまでそういう対応を取ってきたから中国を増長させた。
尖閣への威嚇や度重なる領海侵犯などを見ても、中国が日本を友好国だと思っていないのは明白だ。だったら日本の対応もより厳しくすべきと考える。
特に外務省は垂氏が指摘するように、強く中国への追及を継続すべき。それと同時に、垂氏のように日本の国益を重視する大使を派遣し、中国への渡航危険レベルを引き上げるべきだ。
「米国務省は、中国本土について、「レベル三 渡航を再考せよ」とし、「出国禁止措置や不当な拘束の危険を含む、現地の法律の恣意的運用があるため、渡航を再考するように」としている」とのこと(参考)。日本人も不当拘束されている。しかもこのような悲惨な事件が立て続けに起きている。国民の安全を守るため、しっかりと判断していただきたい。
ネットの反応
それに比べて、外務大臣、副大臣も「どこの国でもありえる事」「中国には反日教育はない」と言われて終わり。
こういう時こそ、現場におられた人達を会議に同席させておくべきじゃないか。
自身の経験から中国独裁の現実を
目の当たりにした大使が懸念し
政府に強く進言するのは当然です。