
立憲党内で参院選「負け」の受け入れ広がる。保守系野党の台頭で政局は新たな時代に突入へ。自民は緊張感を持てるか?
参院選の結果を受け、立憲民主党は何とか議席維持となったものの、党内では「負け」と受け止めが広がっているようだ。
20日投開票の参院選で立憲民主党は改選前と同じ22議席にとどまった。野田佳彦代表が掲げた「与党改選過半数割れ」の目標は達成したものの、国民民主党など他の野党が躍進する中、党内には「負け」との受け止めが広がる。石破茂首相(自民党総裁)は政権延命に向けて立民に秋波を送るが、立民が安易に応じれば事実上の「大連立」とみられ、致命的な傷を負いかねない。
野田氏は21日、記者団に、首相の続投表明について「だらだらとした政治をいつまで続ける気なのか、だらだらと民意を無視して居座り続けるのか。あまりにも説得力がない」と批判した。一方で、立民として内閣不信任決議案の提出を検討するか問われると「まだ考えていない」とかわした。
野田氏は参院選を政権交代に向けた「ステップ」と位置付けていた。平成19年参院選で自民、公明両党を過半数割れに追い込み、2年後の21年衆院選で民主党(当時)への政権交代を果たした成功体験があったからだ。
今回、野田氏のもくろみ通り与党過半数割れの結果になったが、誤算は参院選で明らかになった立民の党勢の陰りだ。
臨時国会での不信任案提出について、党内では「提出して衆院選になっても、この結果では勝てない。不信任案は出せない」(中堅)と慎重論が拡大する。ベテランも「負けも負け。不信任案どころではない」と断じる。
以下ソースで
自民党が大幅に議席を減らし、与党を過半数割れに追い込んみ他の野党が議席を伸ばしたにもかかわらず野党第一党がこの結果では「負け」と認識するのも当然。比例代表の得票率は、野党では国民民主党が12.9%、参政党が12.6%で、立憲は12.5%だった。
この結果で与党を過半数割れに追い込んだと満足していたら本当に終わるところだったが、何とか踏みとどまったようだ。
今回の選挙結果を受け「政治思想史家の河野有理(ゆうり)法政大教授は21日、X(旧ツイッター)で、「『自民党より左』の大結集で政治を変えるという戦後政治の<夢>がついに最終的についえた」との見方を示し、「極めて大きな地殻変動の現れ」を指摘した」また「河野氏は、立民について、「今回で伸びないならいつ伸びるのかという話であり、相当に厳しい結果なのではないだろうか」との見方を示し、「執行部がこれを厳しい結果と思えていないなら本当に将来がなさそうである」と指摘した」という。(参考)
衆院選に続き今回の選挙も自民に大逆風が吹き荒れた。国民民主と参政が大幅に議席を増やしたのだが、立憲は議席増出来ず、これまで自公対左派政党だった構図が、保守系野党の台頭で新たな時代が誕生したと言っていいだろう。これは自民の自爆と立憲の成長のなさが招いてしまった結果だ。
野田代表は秋の臨時国会までに「野党連携を深めていきたい」との認識を示しているが、国民民主は独自路線を行く姿勢をこれまで示して来たし、参政や他の保守系野党や維新が立憲と連携するかは疑問だ。立憲が旗を振り野党内でまとまるのも困難な時代となった。今後は自公と立共が他の野党をどう取り込むかがカギとなりそうだ。
一方で、この状況は自民も危機感を覚えるはず。これまで保守=自民だったものが、今回の選挙のように、少しでも下手を打てば保守系野党に票が流れることを意味する。これで緊張感を持てないようなら本当に没落するしかない。
本当は新たな総裁を立て党の立て直しを図って欲しいところだが、石破首相は続投の意向を示してしまった。しかも、幹事長も続投という。責任を取るのは木原選対委員長だけという。これで生まれ変わることが出来るのだろうか。前衆議院議員の甘利明氏はXで「これ以上ない低い責任ラインを自ら設定し、それすらクリア出来ない二度の惨敗の果てに「比較第一党の責任」なる珍説で政権にすがろうとする。最後のシンパまで失いますよ」と、苦言を呈した。(参考)
立憲だけでなく自民も深刻。