
「自国民を守る」は政府の義務。朝日新聞の「途上国配慮」論が抱える独善性
エネルギーの安定確保は、国家の生存と国民生活に直結する最優先課題である。中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の封鎖リスクという有事において、日本政府がガソリン補助金などで国内価格を抑え、高値であっても原油の代替調達を急ぐのは、主権国家として当然の危機管理にほかならない。
しかし、朝日新聞はこうした政府の政策に対し、「節約を要請せずに補助金で需要を下支えしている」「日本の購買力による高値買いがアジアの途上国に悪影響を与える恐れがある」と批判的な報道を行った。これに対し、インターネット上では「メディアの『反日体質』の表れ」「国民に犠牲を強いるのか」といった猛烈な反発が沸き起こっている。
報道側が主張する「国際市場の価格高騰と途上国へのしわ寄せ」というグローバルな構造問題自体は、一つの事実かもしれない。だが、だからといって「日本国民が節約生活をして我慢し、途上国に資源を譲るべきだ」と言わんばかりのトーンは、あまりにも現実を無視した理想論であり、国民の不信感を招くのは必然である。
そもそも、いかなる国の政府であれ、第一の義務は「自国国民の生命、財産、そして生活を守ること」である。エネルギー価格の高騰を放置すれば、国内の物流や製造業は麻痺し、一般家庭の死活問題へと直結する。代替案のないまま、国際貢献や他国への配慮を大義名分に掲げて自国民に耐乏生活を求める論理は、本末転倒と言わざるを得ない。
経済産業省幹部から「まるで日本が買い占めているようだ」という声が漏れるなど、政府側も国際社会でのレピュテーションリスクを自覚しつつ、苦渋の選択として資源確保に動いている。こうした現実的なジレンマを無視し、有事における正当な生活防衛を「利己的な買い占め」であるかのように仕立て上げる報道の姿勢は、メディアとしてのバランス感覚を欠いている。国際連携の重要性は否定しないが、それは自国の足元が揺らいで良い理由にはならないはずだ。


