
岩屋毅元外相「売国デマ」に傷ついた——だが有権者が「中国寄り」と見る理由
自民党の岩屋毅前外相が、ネット上で「売国」「日本より中国を優先」といった誹謗中傷が特定のプラットフォームだけで590万回に達したと明かし、「深く傷ついた」と語った。2月の衆院選を乗り越え当選したものの、民主主義を歪めるデマの蔓延を問題視している。しかし、この批判は単なる「デマ」として片付けられない。本人は「新しい保守主義」を掲げるが、有権者が「中国寄り」「リベラル派」と見る根拠は複数存在する。
保守層が反発する「中国寄り」と見なされる主な言動
有権者が不信感を抱く最大の火種は、北京での日中会談で表明した「中国人向け観光ビザの大幅緩和」だ。最長10年の数次ビザ導入などは「国益より中国を優先した象徴」として保守層の猛反発を招いた。
さらに、日中「戦略的互恵関係」の積極推進や、台湾有事という表現への違和感(「台湾は無事であるべき」)といった融和的な言動も油を注いだ。安全保障面でも「スパイ防止法」や「国旗損壊罪」の法制化に人権や表現の自由を理由に慎重・反対姿勢を明言。これらが「国家意識が薄いリベラル派」という印象を決定づけた。
単なる「デマ」か、それとも「イメージの積み重ね」か
一方で、これらが単なるデマか、イメージの積み重ねかという論点にはグラデーションがある。米国司法省のIR贈賄事件起訴状に関連名が浮上した件について、本人は「金銭受領は一切ない」と完全否定しているが、同盟国からマークされているという外交上の懸念は残る。
また、2025年1月の議員宿舎侵入事案で「中国人スパイが侵入した」という噂がネットで広がったが、実際には精神的に不安定な女性によるもので、中国工作の証拠はない。つまり、実態のない「デマ」も混在している。
しかし、根拠のないスパイ説が瞬時に拡散したこと自体、過去の政策選択による「親中・リベラル」のイメージが有権者の間に強固に積み重なっていた証左と言える。ネット時代、政策の印象管理は政治生命に直結する。対話重視の姿勢が「弱腰」と捉えられる現状において、国益最優先の姿勢をいかに示すか、岩屋氏の今後の言動が注視される。
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