
自衛隊への外国人登用提言に佐藤正久氏が猛反対 「現場はアナログ」防諜上のリスクも
笹川平和財団が、自衛隊の人手不足への対応策として、一定の条件付きで外国人の登用を検討するよう小泉進次郎防衛相に提言した。提言では、戦闘など「公権力の行使や国家意思の形成」に当たらない業務を対象とし、同盟国・同志国の国籍に限定したうえで、秘密へのアクセスも制限する案が示されている。オーストラリアで一定条件の下、外国人の入隊が認められていることも参考例として挙げられた。
これに対し、元陸上自衛官で前参院議員の佐藤正久氏は「反対だ」と明確に表明。「自衛隊に誇りと処遇改善で日本人採用強化策を推進すべき」と主張し、「業務の限定や秘密へのアクセス制限と言っても、現場はアナログで義理人情で動く場合も。緊急時は尚更だ」と指摘した。
佐藤氏の指摘で重要なのは、外国人だから危険だという単純な議論ではない。問題は、制度上の業務分担や情報アクセスの制限が、実際の部隊運用、とりわけ災害派遣や緊迫した状況でも本当に機能するのかという点にある。
整備、通信、補給、施設管理などに業務を限定しても、隊員として組織に入れば、基地の構造や装備、人員配置など、日常業務を通じて接する情報は増える。平時には規則で線引きできても、緊急時には口頭の指示や信頼関係を基に動く場面もある。「現場はアナログ」という言葉は、制度設計と現実のギャップを問うものだ。
さらに無視できないのが、防諜上のリスクである。外国人登用を行えば、本人に悪意がなくても、外国政府や情報機関との関係を持つ人物が組織内部に入り込む可能性を完全に排除することはできない。「同盟国・同志国に限定する」「秘密へのアクセスを制限する」という条件だけで十分なのか。採用時の身元確認や継続的な情報保全、アクセス権限の管理まで含めて検証する必要がある。
もちろん、自衛隊の人手不足が深刻なのも事実だ。だからこそ、外国人登用を検討する前に、処遇や生活環境の改善、再任用、予備自衛官の活用など、日本人の採用・定着をさらに強化する余地がある。
今回の提言は政府決定ではなく、防衛省が外国人登用を決定したわけでもない。しかし、自衛隊は一般の人手不足産業とは異なり、国家防衛と機密を担う実力組織だ。「人手不足への対応」と「国家安全保障上のリスク」を同じ尺度で考えてよいのか。今回の提言を機に、慎重な検証が求められる。
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