
中国軍「ジブリ風」AIアニメで日本批判 日本が誇るアニメ文化までプロパガンダに利用か
中国人民解放軍の対外発信アカウント「China Military Bugle」が9月2日、日本の防衛力強化を批判する短編アニメ「平和の仮面」を公開した。約2分の映像には「AI補助生成」との表示があり、憲法を思わせる本、武士、放射線マーク、女性政治家、戦闘機などが登場。「専守と言って武器を取る」「平和の仮面を脱ぐ」といった日本語の歌詞で、日本の安全保障政策を「軍国主義」と結び付けて批判している。
ところが、日本で強い反発を招いているのは、その政治的主張だけではない。柔らかな線や光の描写、人物の表情などがスタジオジブリ作品を強く想起させ、終盤の少女については「火垂るの墓」の節子を連想するとの指摘も出ている。
そして、この動画をめぐって注目されたのが、以下のX投稿である。
China urges Japanese authorities to make clean break with militarism to win trust
Chinese Foreign Ministry spokesperson Guo Jiakun on Wednesday urged Japanese authorities to earnestly abide by the international obligations confirmed in the Japanese Instrument of Surrender, face… pic.twitter.com/KYtAucxnqc
— China Military Bugle (@ChinaMilBugle) September 2, 2026
もちろん、画風そのものが直ちに著作権で保護されるわけではない。また、今回のAI映像がジブリ作品を学習データとして使用したのかどうかも確認されていない。したがって、現段階で「著作権侵害」や「ジブリ作品の無断使用」と法的に断定するのは適切ではない。
しかし、だからといって問題がなくなるわけではない。
日本のアニメーションは、いまや世界中で知られる日本文化の象徴の一つである。ジブリ作品もその代表格であり、「火垂るの墓」が世界に伝えてきたのは、戦争によって普通の人々の暮らしが壊される悲劇だった。
その日本が生み出し、世界に誇ってきたアニメーションの表現を強く想起させる映像を使い、日本そのものを「軍国主義」と批判する。これには、著作権の問題とは別に、強い違和感を覚える。
自国を批判されること自体は、国際社会では当然あり得る。しかし、日本文化の象徴ともいえる表現を借り、その文化が持つ「反戦」「平和」というイメージまで利用して、日本への政治的メッセージを発信することまで、黙って受け入れる必要はない。
しかも、中国側は国連憲章の「敵国条項」にも言及している。ただし、国連総会は1995年に同条項を「obsolete(時代遅れ)」と位置付け、削除に向けた意思を示している。この点も中国側の主張だけをそのまま受け取るべきではない。
日本を批判するなら、日本のアニメ文化の力を借りず、自らの表現で堂々と主張すればいい。日本が世界に誇る文化を利用しながら、日本を「軍国主義」と描く。その手法に、日本人として「それは違うだろう」と声を上げることは、決して過剰な反応ではない。
今回の動画が示したのは、日本の防衛政策への批判だけではない。日本が世界に誇る文化そのものが、国家プロパガンダの道具として利用され得るという現実である。だからこそ、その利用に対しては、著作権の議論とは別に、明確な違和感と批判の声を上げるべきではないだろうか。
💬 このニュースに関するXの反応・意見を見る
X(Twitter)でこの記事の投稿を見る(コメント・リポスト)

