
文科相が説明の重要性を説いていたのに、十分な説明はまだ? 東大総長選考で教職員523人が要望書、学生からも疑問の声
東京大学の次期総長選考をめぐり、選考過程の透明性や説明責任を求める声が学内で広がっている。
教職員有志は10月13日、総長選考・監察会議に対し、選考の経緯について説明を求める要望書を提出した。賛同者は同日正午時点で523人に上り、このうち387人は今回の総長選考における学内意向投票の有資格者だった。有資格者2,583人の約15%に相当する。
今回の選考では、教職員による意向投票で1位となった染谷隆夫教授に対し、2位だった藤垣裕子教授が次期総長に選出された。意向投票は選考会議が判断するための参考材料であり、得票数だけで総長が決まる制度ではない。しかし、投票結果と選考結果が異なったことで、なぜ藤垣教授が選ばれたのか、どのような基準で候補者を比較したのかという疑問が生じている。
選考会議は藤垣教授の選出理由について、理事・副学長としての経験や大学を変革する能力などを挙げ、候補者の資料、面接、意向投票などを総合的に考慮したと説明している。一方、教職員有志は、具体的な比較評価や選考過程のさらなる説明を求めている。学生の間からも、選考プロセスの透明性や公平性について疑問の声が上がっている。
ここで忘れてはならないのが、文部科学相も選考結果をめぐり、選考会議が学内にしっかり説明することの重要性を指摘していた点だ。それにもかかわらず、教職員が改めて要望書を提出し、学生からも疑問が示されているのはなぜなのか。
問題は、意向投票で1位だった候補者を選ぶべきだったかどうかだけではない。選考会議に裁量があるとしても、その判断の根拠が学内の構成員に十分伝わっているのかという問題である。
要望書への賛同者が教職員全体の多数を占めるわけではない。しかし、選考に関わる教職員から相応の規模で説明を求める声が上がった事実は重い。大学側には、説明を公表したというだけでなく、何が疑問視されているのかを受け止め、可能な限り具体的に答える姿勢が求められる。東大の意思決定に対する信頼を確保できるかが問われている。
多額の税金が投入されている、我が国最高峰の大学である東京大学。だからこそ、総長選考の過程がブラックボックス化することだけは許してはならない。
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