
「安保土地取引に許可制」改正案を閣議決定、早期成立目指す しかし課題は山積、まずは既存の土地の全容把握を
政府は10月23日、安全保障上重要な土地の取引規制を強化する重要土地等調査法の改正案を閣議決定した。今国会に提出し、早期成立を目指す。
今回の改正案の柱は、自衛隊基地や海上保安庁の施設周辺など、一部の区域で土地取引に事前許可制を導入することだ。ドローン攻撃などの新たな脅威に備え、重要施設の情報窃取や機能阻害を防ぐ狙いがある。
対象区域では、国籍を問わず許可手続きを求める一方、外国政府や外国軍の関係者などによる土地取得は、原則として不許可とする。土地の取得後に所有関係が変化した場合の対応や、違反者への罰則も盛り込まれた。
安全保障上重要な土地を守るため、取得前の審査を強化することには意味がある。しかし、これで問題がすべて解決するわけではない。
気になるのは、すでに取得されている土地の存在だ。これから購入される土地を規制できても、過去に取得された土地の所有者や利用実態が十分に把握できていなければ、対策には限界がある。登記上の名義人と実際の使用者が異なるケースや、いわゆる名義貸しへの対応も課題となる。
重要土地等調査法は2022年に全面施行された。それでも今回、ドローン攻撃などの脅威を踏まえ、さらなる規制強化が必要となった。安全保障環境の変化を考えれば、対応が遅かったことは否めない。
だからこそ、今後は新たな土地取得の規制だけでなく、既存の土地についても所有者や実質的な支配者、利用状況の全容把握を進める必要があるだろう。そのうえで、利用規制だけではリスクを十分に解消できない土地については、法的根拠や適正な補償を前提に、国による取得も検討すべきだ。
今回の改正案を成立させて終わりにしてはならない。日本の安全保障に関わる土地を守るため、既存の課題にも目を向け、実効性のある対策を着実に進めてもらいたい。
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