石破氏、ついに宿敵だったはずの二階氏の軍門に降る??選挙区を二階派に奪われても、二階氏から見下されても、服従を強いられる石破氏の残念な事情。
国会閉幕のさなか、永田町に激動が走るニュースが飛び込んできた。なんと石破茂氏が二階俊博氏に派閥パーティーに講演を依頼し、それを二階氏側は幹事長が応じるのは当然であると快諾をした。(参考)
このニュースに、ついに安倍総理も二階氏に裏切られたとマスコミは大喜び。それもそのはず、犬猿の仲といわれていた二階氏と石破氏が手を結んだというのだ。
安倍総理と二階氏の関係は「敵の敵は味方」「戦略的互恵関係」などいわれてきた。その二階氏が、安倍総理を見限って石破氏に寝返ったとならば、アベ憎しで頭がいっぱいの方々には痛快この上ない出来事なのだろう。
しかし、実態は二階派に追い詰められた石破氏が子分の議席を奪われようと、二階氏から過去にバカにされていようと、なりふり構わず服従しているというのが実態なのだ。
「選挙に勝てる幹事長」と「選挙に勝てない幹事長」という隔絶
二階氏が、石破氏を見下しているエピソードは数多い。
もともと二人には自民党を離党しながらも、復党後に最重要役職である幹事長に就任した共通項がある。出戻り政治家には厳しい自民党において非常に珍しいことだ。
しかし、2018年夏に自民党本部で開催した新潟物産展での出来事は自民党関係者には余りにも有名だ。
【うまさぎっしり にいがた物産展②】
花角英世新潟県知事、塚田一郎参議院議員(新潟県選出)からの、新潟の魅力PRメッセージをお届けします!#花角英世 #塚田一郎 #新潟 #物産展 #自民党 pic.twitter.com/HrXWSVKURT— 自民党広報 (@jimin_koho) July 4, 2018
そのエピソードがこれだ。
党本部で行われた新潟物産展の時に、笑顔を振りまく石破茂見た二階俊博が「まずは自分で企画するもんだ。それができずに総裁になれるか」と言い放つエピソード最高だな。
— バルジ (@Bulge1994) August 2, 2018
それもそのはず、この物産展直前に行われた新潟知事選では、二階氏が幹事長として陣頭指揮をとり、文字通り勝利をもぎ取った。二階派議員団を総動員した選挙では、石破氏や石破派議員の影の形もなかったのだ。
二階氏が花角知事(国土交通官僚かつ、実は二階氏が運輸大臣時代の秘書官でもあった)のお披露目も兼ねて企画した物産展に、汗もかいてない石破氏が来てはニコニコ愛想ばかり振りまいている姿を侮蔑した発言なのだ。
それもそのはず、石破氏の幹事長在中は地方選挙では茨城で不戦敗、静岡で惨敗、その後の沖縄知事選など連敗続きであったのに対し、二階幹事長では堅調に地方選挙で自民党は勝利を収めているのである。
二階氏にコケにされてもすがるしか選択肢がない石破派の事情
石破氏は二階氏から派閥作りでも力量の差を見せつけられている。
二階派は2009年政権交代のとき僅か数名であった派閥は、あっという間に50名弱の大所帯まで人数が膨れ上がった。これは二階氏の人徳を示すことである。一方の石破派は、所属議員20名を割って、もはや単独では総裁選の推薦人さえ足りない。これは石破氏の人望のなさを示している。
それに加え、石破派の所属議員の内情も悲惨だ。
石破派の会長代行である山本有二議員は、高知県の選挙区で野党候補に大敗を喫しただけでなく、国政に転じた前高知県知事に選挙区支部長を追われている。いわずもがな、その前高知県知事も二階派であり、二階氏の政治力により石破派の番頭である山本議員は比例に追いやられることになった。(参考)
高知県の隣の徳島では、石破派に所属している後藤田正純議員と福山守議員が選挙区支部長の座を巡って、県知事、徳島市長で候補を出し合い、同じ派閥内の議員が代理戦争を繰り返している。(参考)
いったい石破氏はどういうつもりなのか???
こんな派閥のお寒い内情では、総裁選に足場を固めるなんて無理な話である。
二つ返事の二階氏、石破派講演には老獪な思惑も
石破氏は、二階氏に服従の意を示すことで、石破派パーティーに講師として、招待することに成功した。
多くの記事に書かれていないが、実は石破氏は山本議員と2人で二階氏に頭を下げに行ったのである。山本議員の腹の中も煮え繰り返る思いであったであろう。(参考)小選挙区を二階派に譲った上にこの有様だ。
しかし、忘れてはならないのは石破派のパーティーは9月なのである。9月といえば通例では臨時国会前に内閣改造がある。
二階氏は幹事長としてパーティーの参加を了諾した。そうすると、二階氏が幹事長交代となるのならば名分はなくなるので、来ないかもしれない。また、安倍政権は今秋の総選挙に踏み切る噂も飛び交っているので、そもそもパーティ自体が中止になる可能性もある。
二階氏を土下座のしがみつきで捕まえたと石破氏の歓喜も、つかの間の喜びなのかもしれない。自ら率いるたった19人の石破派の運営ですら、この有様の石破氏。とても自民党総裁や総理大臣が務まるはずがないし、安易な土下座外交になることは目に見えている。