WTAトップ、不明選手の説明ない限り中国市場からの事業撤退辞さず 選手のメールは「ある種の仕組まれた声明」
消息不明の中国の女子テニス選手について大坂なおみ選手やジョコビッチ選手が安否を気遣っている。
中国の有名女子プロテニス選手、彭帥さん(35)が、共産党最高指導部メンバーだった張高麗・前筆頭副首相(75)との「不倫関係」を告発した後に消息が途絶え、テニス界から安否を懸念する声が上がっている。告発する文章は今月2日、中国版ツイッター「微博」に投稿され、直ちに削除されていた。
中国テニス選手の告発、政府は沈黙 消息不明に心配の声高まる女子テニスの大坂なおみ選手は17日のツイッター投稿に「彭帥はどこにいるの」を意味するハッシュタグを付け、「性的虐待を受けたと告白した」彭さんの安否を心配。「いかなる場合でも検閲は許されない」と投稿が削除されたことを批判した。
男子テニスのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)は15日、記者団に対し「消息不明は衝撃的。過去のツアー戦で顔を合わせていた人物ならなおさらだ」と語り、彭さんの無事を願った。これに先立ち女子テニス協会(WTA)のサイモン最高経営責任者(CEO)は14日に声明で、告発に関して「深い懸念」を表明。性暴力は「最大限に深刻に」受け止められるべきだと主張し、「完全で、公正で、透明性があり、検閲のない調査が行われなければならない」と強い口調で訴えた。
失踪の発端となったのは彼女の暴露だと報道されている。
中国の女子テニス選手彭帥(35)が2日、中国高官との不倫をウェイボー上に暴露。瞬時に消されたが、台湾など中華圏のネット上で拡散しており、大きく波紋を広げている。
彭はウェイボーで、共産党最高指導部メンバーだった張高麗前副首相(75)と不倫関係にあったと投稿した。張氏が天津市トップの党委員会書記時代に性的関係を持ったと告白。張氏が最高指導部メンバーに抜てきされ一度は連絡が途絶えたが、張氏が引退後に再び連絡が。テニスをしたあと、張氏の妻と自宅に招かれ性的関係を迫られたという。
この投稿の直前に張氏が関係を終わらせようとしたとみられ「また連絡するね、と言ったけど…。(最初に関係を持った)7年前と同じ。突然消える。遊ぶだけ遊んでポイ」と、つらい気持ちを記している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f6f23030592579d64aec83391e64c2d2104342e
国際的にも問題となった中、中国メディアが彭帥選手本人が書いたとするメールを公開したが、女子テニス協会は「かえって懸念が高まった」と全く信用できないことをコメントした。
女子テニスの彭帥(Peng Shuai、中国)が中国の前副首相から性的関係を強要されたと告発した後、消息不明になっている問題で、同国国営メディアは彭本人が書いたとするEメールを公表した。これに対し、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は18日、「かえって彼女の安全と消息への懸念が高まった」とコメントし、メールが本物だとは信じられないと語った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a326664a98d37ed5ff61c3d10e1cd8daf0ef1467
WTAが疑念を抱くのも当然だろう。彼女のメールは自身の暴露すら虚偽だったとしている。
放送局・中国環球電視台(CGTN)はオンライン版で17日、彭さんの執筆だとするメールを掲載。彭さんが自ら語る体裁で、行方不明でも危険な状況でもないとし、「自宅で休養しているだけで、すべて良好だ」と書かれている。
自身に関する性的暴行の訴えについては、虚偽だとしている。
WTAの主張をCNNは以下の通りに報じた。
香港(CNN) 中国テニス界のスター選手、彭帥さん(35)が同国のかつての党首脳に性的関係を迫られていたと訴えた後、公の場から姿を消したことをめぐり、女子プロテニス協会(WTA)のトップが、彭さんの身の安全に関する十分な説明、および彼女の告発に対して適切な調査がなされない場合には数億ドル規模の同国市場を失うこともいとわない考えを示した。
WTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)兼会長は18日、CNNとのインタビューに応じ、「我々は間違いなく進んで事業を撤退させ、この問題に伴う複雑な事態に対処するつもりだ」と明言。「なぜならこれは確実にビジネスよりも大きな問題だからだ」と話した。
ソーシャルメディアに今月2日に投稿され、後に削除されたメッセージのスクリーンショットによると、彭さんは同国の張高麗(チャンカオリー)前副首相(75)が自宅で性的関係を強要したと告発。以来、公の場に姿を見せていない。
現地時間の18日早朝には、中国国営の中国国際テレビ(CGTN)が、彭さんからサイモンCEOに宛てたとされる電子メールを公開。その中で、性的暴行をめぐる訴えについて内容を後退させ、自身は元気だと主張していた。
サイモンCEOはこの電子メールについて問われると、信ぴょう性に疑問符を付け、「ある種の仕組まれた声明」との認識を示した。
さらに、「彼女が電子メールを書くよう強いられたのか、誰かが彼女の代わりに書いたのか、我々は分からない。だが現時点で、メールに信ぴょう性があるとは思っていないし、彼女と話す機会を持つまで、安心することはないだろう」と述べた。
テニス以外の協会がどう動くか。また、IOCがどのような対応をするかが注目される。
世界のスポーツ選手が今回のWTAに賛同すれば、とてもではないが北京五輪どころではないだろう。