中国が「外交的ボイコット」を牽制 「中国は、日本の東京五輪開催を全力で支持した」と日本に北京五輪の支持要求
人権問題で米国や英国が「外交的ボイコット」を検討している北京オリンピック。中国の女子プロテニス選手の失踪問題でより拍車がかかり、「日本も検討すべきだ」という声も高まってきている。
そんな中、中国の報道官が「我々は東京五輪を支持したのだから日本は北京五輪を支持すべきだ」という趣旨の発言をした。
中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は25日の記者会見で、北京冬季五輪に関連し、「中国は既に、日本の東京五輪開催を全力で支持した。日本は基本的な信義を持つべきだ」と述べた。日本側で、中国の人権問題を理由に北京五輪に首脳や政府使節団を送らない「外交的ボイコット」を求める声が出ていることを牽制(けんせい)し、開催への支持を求めた形だ。
趙氏は「中日双方には、五輪開催を相互に支持することに関して重要な共通認識がある」と主張。中国側は、今夏の東京五輪開催前から「五輪開催の成功を相互に支持することは、中日両国の指導者が達した重要な共通認識だ」などと強調し、日本の五輪開催に支援姿勢を示していた。
趙氏は、オーストラリア政府が「外交的ボイコット」を検討しているという現地報道に対し「各国のスポーツ選手の利益を害するだけだ」と述べた上で「思い通りにはならないだろう」と反発した。
日本の林芳正外相が訪中を招請されたことについて、自民党内では、開会式の外交的ボイコットが議論されている中で、日本の外相訪中は完璧に間違ったメッセージを海外に出すことに他ならないといった異論も出ている。趙氏は「北京冬季五輪と二国間の政治問題を関連付け、スポーツを政治問題化し、五輪精神を汚すものだ。中国は断固として反対する」と反発した。
https://www.sankei.com/article/20211125-67HALH25WNPQROKDHQZ476SIAE/
いかにも中国らしい。こんなことを言ってくるのは当初から想定されて、ニューズウィークは次のような報道をしていた。
それでも五輪を開催したい菅義偉首相に、意外な(しかし強力な)応援団長が登場した。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席だ。
習は5月8日にIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長と電話会談をしたとき、中国は東京五輪の開催を支持すると表明したという。
もちろん日本は今もアメリカの同盟国であり、中国はアメリカについて「中国包囲網を築いて中国の成長を阻止し、中国と新冷戦をやりたがっている」と強い疑念を抱いている。日中間にも尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題など、厄介な問題が根強く残っている。
だが中国は、もっと差し迫った戦略目標のために、長年の懸案をひとまず横に置くことにしたようだ。
習としては、東京五輪の開催を支持することで、2022年2月に予定されている北京冬季五輪を完全な形で開催したいと思っている。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/post-96526.php
中国の人権問題は、五輪憲章に反しているという声も多く、五輪憲章には「オリンピック ・ ムーブメントに影響を及ぼす、 いかなる形態の差別にも反対し、 行動する。」とされている。(参考)
「東京五輪を支持したから北京五輪を支持しろ」と中国は言うが、東京五輪に対しては、反対というよりは、新型コロナの対策はしっかりとれるのか?という心配の声で、中国の人権問題とは異次元の話しだ。
「五輪精神を汚すものだ」とあるが、五輪憲章に反する行為を改善しないまま北京五輪を開催する方が五輪精神を汚しているのではないだろうか。