泉新代表の野党共闘見直しの考えに焦る共産党 穀田氏「築き上げてきた共闘をさらに前に進めたい」
野党共闘を巡り、共産党が焦りの色を濃くしていると産経新聞が報じた。共産党としては野党共闘は衆院選だけでなく今後も維持させたい考えだが、立憲民主党の新党首となった泉健太代表が、共産党との野党共闘の合意について「前回の総選挙に向けて交わしたものと。現時点で何かが存在しているということではないのかなと思っている」と、共産党との協力関係は衆院選に限った事だという認識を示したからだ。
共産党が焦りの色を濃くしている。先の衆院選で立憲民主党と構築した協力関係を来年夏の参院選でも維持したいと考えているのに対し、立民の泉健太新代表は共闘の在り方を根本から見直す考えを明らかにしているからだ。立民の方針転換は共産の孤立を深めかねず、総がかりで共闘の意義を訴えている。
「泉さんとは立命館大の先輩、後輩の関係にあたるので改めて祝意を申し上げたい。築き上げてきた共闘をさらに前に進めたい。努力を実らせるために今後も腹を割って、きちんと臨んでいきたい」
共産の穀田恵二国対委員長は1日の記者会見で、開口一番こう強調した。
共産は衆院選が終わってからも、野党共闘のメリットを訴えるのに必死だ。志位和夫委員長は11月末の第4回中央委員会総会で、「『共闘勢力』は、比例得票で246万票増やし、議席も42増やしている」と成果を強調。機関紙「しんぶん赤旗」も「本格的共闘に自公危機感」(1日付)などと、共闘の意義を強調する記事を連日のように掲載している。
背景には立民の心変わりへの警戒が透ける。
共産と立民は先の衆院選の際、政権獲得後の「限定的な閣外協力」で合意し、候補者一本化などを進めた。しかし、立民は13減の96議席と勢力を後退させ、党内には「共産との共闘も含めて党を改革しなければ党勢は伸びない」(中堅)などの不満があがる。
泉氏は共産との関係について、11月30日の代表選後の記者会見で「単に継続ではなく、党として総括しなければならない。現時点で何かが存在しているという考えはない」と白紙を強調した。
1日のテレビ朝日番組でも他の野党からの協力に謝意を示しつつ、「衆院選の結果が出た以上は検証し、次はどうあるべきかを考えなければいけない。立民としてフリーな立場で考えるのは当然のことだ」と述べた。
共産と距離を置く日本維新の会と国民民主党は衆院選で勢力を伸ばした。立民が共闘路線の見直しに踏み切れば、共産が孤立を深める可能性が高い。
衆院選で共産は2減の10議席にとどまっており、自民党幹部は「共闘路線が頓挫すれば牽引(けんいん)役の共産執行部が責任を問われかねない。なんとか立民をつなぎとめたいところだろう」と話す。
https://www.sankei.com/article/20211201-XZ2L3MTVXBI3DPBVEW6XJG5EKQ/
立憲民主党内でも、野党共闘によって一定の効果はあったと評価する意見もあるが、一方で、共産党との協力関係でイメージを悪くしたという意見もある。泉代表は後者だろう。
また、泉代表は記者会見で枝野執行部が国民よりも自民党ばかり見ていたと述べた。
泉氏は会見で、枝野幸男氏らによる前執行部について、「常に自民党と戦っている政党、これは間違いないが、ともすれば自民党の方ばっかり見て、対抗して、国民に対する説明、発信が弱くなっていた」との考えを示した。新体制での党のあり方については、「(政党活動の)原点には、国民に何を届けるかということが大事だ」と強調した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8332b989732d1ce1430e6fb50a85299f87afc0fe
こういうことも踏まえて、泉代表はこれまでの枝野カラーを払拭したい考えだが、共産党はそうは問屋が卸さないという構えだ。今後も必死に説得を試みるだろう。
また、泉代表は枝野幸男前代表にも意見をうかがうと述べていたが、枝野氏がどのような反応を示すかも注目したい。