武蔵野市の外国人住民投票条例案が否決 松下市長、市民の声をさらに聞き、改めて条例案を検討する意向を示す
武蔵野市の住民投票条例案が否決された。賛成11、反対14という結果で、2人が賛成していれば可決されるところだった。
日本人と外国人を区別せずに投票権を認める住民投票条例案を否決した、21日の東京都武蔵野市議会の採決結果は賛成11、反対14だった。過半数は13。態度を明確にしていなかった無所属議員2人が反対に回った。
採決に先立つ討論では「多様性ある町づくりに貢献する」「市民への周知不足から混乱が生じている」などと賛否が分かれた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc1ade9ce9d83e242e4258215a4f593cb103a419
積極的に反対活動をしていた深田貴美子市議はツイッターで報告。
【ご報告:否決されました】
12/21(火)正午過ぎに、#武蔵野市住民投票条例 議案は、賛成11名、反対14名で、否決されました。
市内のお気持ちを寄せていただきました皆様、全国からご署名をいただきました皆様、応援をありがとうございました!
まずは、第一報をお伝え申し上げます。 pic.twitter.com/uHmqsqURmf— 深田貴美子 (@fukakimi) December 21, 2021
和田政宗議員もツイッターで報告を行なった。
武蔵野市住民投票条例案が市議会で否決。
拙速に松下市長が押し進めようとし、私が参加した街頭演説会への妨害、それを神奈川新聞石橋学記者が擁護するなど異様な状況に、中間派が反対に舵を切った。
外国籍の方々が課題に思う事は別の方法で丁寧に聞けば良いのではないか。
ご支援有難うございました— 和田 政宗 (@wadamasamune) December 21, 2021
長島昭久議員は自民党市議団を労った。
#武蔵野市住民投票条例 を巡っては、否決へのキャスティング・ヴォートを投じた会派ワクワクはたらくの本多市議や宮代市議、無所属の下田市議にスポットが当たっているが、やはり当初からブレることなく、条例案撤回を求めて連日街頭に立ち、戦い抜いた自民党市議団の皆さんの努力に敬意を表したい。 pic.twitter.com/PGzO5JKUEn
— 長島昭久@東京18区(武蔵野、府中、小金井市) Akihisa NAGASHIMA, MP (@nagashima21) December 21, 2021
他にもSNSでは安堵の声か広がる中、朝日新聞が否決によって「日本は閉鎖的という印象を与える恐れ」という名城大の近藤敦教授の意見を記事にして配信した。
外国籍の住民の参加を「在留期間3年以上」などに絞るべきだという反対派の主張には一定の説得力があった。
だが、参加そのものを「違憲の疑い」「国益を損なう」と批判した反対派の主張はこじつけで、普遍性に欠けていた。
今回、首都東京の中にある市で外国人の参加を認める住民投票条例案が否決されたことで、日本は閉鎖的な国だという印象を海外に与える恐れがあるだろう。
中略
武蔵野市は今後、「在留期間3年以上」といったふうに資格の範囲を絞るなど、条例案を修正して、再提出したらどうか。
https://www.asahi.com/articles/ASPDP4JFJPDPUTIL01F.html?ref=tw_asahi
「日本は閉鎖的な国だという印象を海外に与える恐れがある」と言っているが、マスコミがしっかりとした報道をしていればそのような印象は軽減できるはず。可決して欲しかったマスコミが悔し紛れに「日本は閉鎖的」と報じるからそのように世界に伝わってしまうのだ。
一方で産経新聞は、麗澤大の八木秀次教授の「根源的な問題は自治基本条例にある」との意見を報じた。
今回の条例案の根拠となるのは自治基本条例だ。国家以前に自治体が存在するとし、自治体外交や『無防備都市宣言』に代表される独自の防衛政策も想定する。法律より上位に位置付けられるとする、革命的な条例だ。
外国人投票権は、あくまで表面上の問題に過ぎない。さまざまな立場の活動家がやってきて街宣活動を繰り広げる中で、反対派の主張がヘイトスピーチ扱いされる状況が生まれてしまった。そもそもの根源である自治基本条例の問題に、土俵を変える必要がある。
自衛隊・米軍の基地や原発がある自治体、国境離島の自治体で同様の条例ができたらどうなるか。今回の条例案は否決されたが、市はこのまま断念すると思えないし、全国に波及する恐れもある。引き続き注視が必要だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/af192946a6bc2b0576036fb702bc22f021c92874
確かに国益にもつながる部分の配慮は必要で、反対派の多くはこの部分を懸念しているのだと思う。
次も産経新聞の記事だが、長野県立大の田村秀教授は「多様な声を反映させる仕組みが必要」との考えを示したうえで、十分な議論がなされていなかったことを指摘。
身近に外国人住民が増える中、多様な声を反映させる必要があることは間違いない。今回の定例会では条例は成立しなかったが、意見を集約したり反映したりする何らかの仕組みは今後も求められるだろう。
憲法上の論点となる外国人参政権の問題など、住民投票における外国人投票権がさまざまなことに波及する懸念を持つ市民は少なくない。今回の条例案は急ぎすぎた印象を拭えず、結果として、政党間の対立が住民の分断を招いてしまったといえる。
住民投票は、住民代表である議会の存在意義に関わるため、原則として抑制的であることが望ましい。議会の存在や機能を前提としつつ、時間をかけて丁寧に議論しなおすのが筋だろうし、憲法との関りについては国も積極的に発信するべきだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2d44b237b4c65e6f845e554bceca6bb956b7afd3
まさに今回の一番の問題はこれだ。反対派の東まり子市議も「住民投票条例について、制定を含め全てを反対するものではありません。要件について、精査する必要があると考えます」と述べたうえで「ほとんどの市民が、まだ知らないことも課題です」とブログに綴っている。(参考)
松下玲子市長は「市議会では市民への周知が足りなかったとの意見があった」と述べ、市民の声をさらに聞き改めて条例案を検討する意向を示した。(参考)
広く市民の声を集め、それを判断材料に議論を重ね練り直せばいいのだ。受け入れられるかどうかはそれ次第だ。