香港立法会選挙で民主派議員がゼロに 米英加豪新「民主的要素の弱体化に重大な懸念」表明
香港立法会選挙によって民主派の議員がゼロになった。
19日投票の香港立法会(議会、定数90)選挙は20日、開票作業を終えた。数人の自称民主派は全員が大差で落選し、親中派の「圧勝」が確定。過去の立法会選で3~4割の議席を維持してきた民主派は、1997年の香港返還後初めて選挙によってゼロとなった。
153人の候補者のうち、自称民主派と中間的な路線を掲げる十数人が「非親中派」とされていた。業界別の間接選挙枠(定数30)で1人の非親中派が当選した以外、軒並み敗れた。
香港では今年5月、中国主導で選挙制度が大幅に変更され、定数は70から90に拡大された。香港では伝統的に市民の6割が民主派支持と言われるが、民意が反映されやすい直接選挙枠は従来の35から20に縮小。立候補に当たっては、一定数の親中派の推薦を得た上で、中国や香港への「忠誠心」を基準とした審査を通過しなければならず、民主派出馬は極めて困難な状況となった。
主要民主派政党は候補者擁立を見送り、有権者の投票意欲も低下。直接選挙枠の投票率は2016年の前回選挙から30ポイント近く下がり、過去最低の30.2%だった。多くの民主派支持層が棄権を選んだ結果、親中派に票が集中した。
英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは「民主的要素の弱体化に重大な懸念」という共同声明を出すが、中国はいつものごとく「内政干渉」と主張。
英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは20日、香港立法会(議会)の選挙結果を受けて共同声明を出し、香港の選挙制度における「民主的要素の弱体化に重大な懸念」を表明した。
在英中国大使館の報道官は、この声明は無責任で事実をゆがめているほか、悪意から選挙に疑念を呈していると批判。これは「中国の内政への深刻な干渉で、国際関係に関する基本的な規範に違反している」と主張した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cfc42c096675af5557db05cedcbd796c32b6c58b
たしかに、選挙制度への言及は内政問題にあたるが、それ以前に約束を守れと言うものだった。
主要7カ国(G7)外相と欧州連合(EU)の外交安全保障上級代表は20日、香港の選挙制度で「民主的な要素が損なわれていることへの重大な懸念」を表明した。
G7外相らは共同声明で、香港で今年導入された選挙制度の変更は「『一国二制度』の原則の下での香港の高度の自治を損なうものだった」と非難。中国に対して、「(香港に高度の自治を認めた)英中共同宣言やその他の法的義務を守り、香港基本法が定める通り香港の基本的な権利と自由を尊重する」よう求めた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-12-20/R4FBMFDWRGG101
英中共同宣言;声明によると、中国は一国二制度をもとに、中国の社会主義を香港で実施せず、香港の資本主義の制度は50年間維持されるとした。これらの方針は後の香港特別行政区基本法に引き継がれた。
香港基本法;「一国二制度」による特別行政区として国防・外交以外の「高度な自治」を保障し、資本主義制度を50年間変更しないと明記。行政管理権、立法権、司法権をもち、財政の独立、通貨・パスポートの発行、国家以外のメンバーが参加できる国際組織・国際会議に「中国香港」名義での参加を認めている。コモン・ロー(英米の慣習法)など返還前の法律を保持し、中国本土と異なり死刑は廃止している。香港が管理する事務に中央政府・地方政府が干渉することも禁じ、「準国家」的な地位を保障している。特別行政区の首長である香港行政長官と香港立法会(議会)については返還から10年後の2007年までの選出方法を定め、最終的には香港行政長官と全議員を普通選挙で選出することを明記している。
「おいおい、話が違うじゃないか」となるのは当然だ。