米国議会がバッハ会長非難決議を全会一致で採択! 「安全が確認された」から「非常に不安定な状況」に一転したのはこれで?
米国議会下院が中国女子テニス選手の問題をめぐり、IOCのバッハ会長を非難する決議を全会一致で採択した。
米国では北京冬季オリンピックのボイコット論がなお広まっているが、そのなかで連邦議会下院は、中国の女子有名テニス選手、彭帥(ほうすい、ポンシュアイ)氏を巡る事件に関して、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長を非難する決議をこのほど全会一致で採択した。
この決議は、彭帥氏が受けたセクハラや人権弾圧の疑惑に関連してバッハ会長とIOCが中国当局のカバーアップ(隠蔽工作)に加担したと糾弾した。米国の政府や世論を代弁する議会のIOCに対する全面対決の姿勢は、今後のオリンピック運営にも大きな影響を与えそうだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/28659f9abe475e8af7ff2c2f80f21edbc45b90a6
議会はバッハ会長が中国当局の隠蔽工作に協力したのも同然と訴えている。
同決議は、彭帥氏が中国政府の元副首相・張高麗氏に性的関係を迫られたという趣旨のネット投稿をしたことに関して、中国政府の抑圧の動きとともに、その中国政府の行動を承認しているIOCのバッハ会長の言動を厳しく糾弾している。
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こうした状況のなかで11月21日、IOCのバッハ会長が彭氏とテレビ電話で話したことがIOC当局によって発表された。発表によると、30分間の通話のなかで彭氏は「北京の家で安全かつ元気に暮らしている」と説明したという。
しかし、彭氏が本当に自由で安全な環境にあるのかは依然として不明のままである。そんな状況下で中国当局の公式発表を承認する形となったバッハ会長の行動に対して、国際的な批判が噴出した。
■ 中国当局の隠蔽工作に協力したのも同然
米国議会下院の決議はバッハ会長のこの動きを厳しく非難して、IOCが中国政府に対して彭氏の本当の現状を公表することを求めることなどを要求していた。米国は年来、オリンピックの開催には大きな影響力を有している。その米国議会のIOC会長への非難は、今後のオリンピック運営全体に影を落とすことになりそうだ。
中略
同決議は以上のような現状認識を示したうえで、議会下院としての方針を以下のように宣言した。
・IOCのバッハ会長の言動は、明らかに中国政府の人権抑圧に協力して、スポーツ選手である彭氏の権利の迫害に加わることに等しい。米国議会としてはこれを非難する。IOCとバッハ会長は、彭氏に関する情報を完全に開示するよう中国政府に要求すべきだ。
・IOCは彭氏の安全と自由を確認するための調査を独自に実施すべきである。同時に米国政府や国連も、この事件をスポーツ選手たちの人権や自由への迫害として調査すべきだ。また彭氏が今後望むならば米国への移住を認める。
https://news.yahoo.co.jp/articles/28659f9abe475e8af7ff2c2f80f21edbc45b90a6
バッハ会長はこれまでは「安全が確認された」と主張してきたが、「彼女は、非常に不安定な状況にある」と態度を一転した。
IOC(国際オリンピック委員会)が、これまでは安全が確認されたと主張してきた、中国の女子テニスの彭帥選手について、バッハ会長は「彼女は、非常に不安定な状況にある」と述べ、IOCとして支援していく考えを示した。
IOCは、彭帥選手とビデオ通話したと発表した以降、FNNの取材などに対して、繰り返し、「安全を確認した」との立場を示していた。
しかし、9日に行われたバッハ会長の会見で、「安全な状況にあるなら、なぜ支援するのか?」と記者から質問されると「彼女が非常に不安定な状況にあるからだ」と答えた。
バッハ会長は、性的強要があったと告白した彭帥選手が、非常に不安定な状況にあるはずだと述べ、彼女の身に起きたことについて、中国側と協議していると答えた。
前日に行われた会見でも、彭帥選手についての質問が出たが、バッハ会長は「抑圧されていると感じなかった」などと答え、問題視していない立場を示していた。
米国議会下院本会議は12月8日、「国際オリンピック委員会(IOC)は自らの人権誓約から逸脱した」と題する決議案を全会一致で採択した。バッハ会長が態度を一転させた会見が行われたのが9日だ。もしかしたら米国議会の決議の結果が態度を一転させた要因なのか?
「今後のオリンピック運営にも大きな影響を与えそうだ」とあるように、米国を敵に回すと、今後のオリンピック運営に計り知れないダメージを受けることになる。バッハ会長はまさかアメリカがこれほど怒るとは思っていなかったのかもしれない。