米国、ロシア要求のNATO不拡大確約を拒否 ロシアからは「建設的な回答がなければ対抗手段をとる」と警告
ウクライナとロシアの国境で緊張が高まっている中、アメリカはロシアが要求するNATO不拡大の確約について拒否した。
ブリンケン米国務長官は26日の記者会見で、緊迫するウクライナ情勢に関するロシアの提案に文書で回答し、ロシアが求める北大西洋条約機構(NATO)不拡大の確約を正式に拒否したと明らかにした。NATO新規加盟を認める原則を支持する考えを明確にしたと述べた。米ロの主張の隔たりが改めて浮き彫りとなった。
ロシア政府が米側に文書による回答を求めていた。ブリンケン氏は、対話を通じた外交的な解決を目指す用意があると強調し、ロシアのラブロフ外相と今後の対応について近く協議するとの見通しを示した。NATO新規加盟を認める原則への支持は「変わらない」と明言。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dae644724281b87d3520f2b6c6a88e4ac7e73dd6
ウクライナ国境に約10万人のロシア軍が集結。NATO不拡大を認めさせるための威嚇行動だと思われるが、欧米各国は有事を想定しての対応に動いている。
ロシアは、ウクライナとの国境に約10万人の兵力と装甲車両を展開。侵攻計画は否定しているものの、緊張が高まっている。米国と欧州連合(EU)は同日、外相会議を開き、ロシアがウクライナ侵攻を決行した場合に取る厳しい対抗措置について協議する予定。
米英豪の3か国は、ウクライナの首都キエフに駐在する外交官の家族に退去を命令。フランスは国民に対し、ウクライナへの不要不急の渡航を中止するよう勧告した。だが侵攻は差し迫ったものではないとの見方もあり、ウクライナ政府とEUのジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(外相)はいずれも、外交官の撤退は時期尚早であるとの見解を示している。
米国が主導するNATOは、各加盟国がロシア軍集結への対応として、東欧の防衛を強化するため、部隊を「待機」させ、艦隊や戦闘機を増派すると説明。加盟国のデンマーク、スペイン、オランダが最近、軍の動員を決定したことを指摘した。
NATOのイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は「NATOは引き続き、すべての同盟国を保護・防衛するために必要なあらゆる手段を講じる」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/19ba1d255dcab17fee3625fd1bb5ca21235bf0e9
ロシアからは「建設的な回答がなければ対抗手段をとる」と警告があったが、アメリカは冒頭記事のようにロシアの要求を拒否した。
ウクライナ情勢緊迫化の要因とロシアが主張するNATO=北大西洋条約機構の拡大をめぐり、ロシアの外相はアメリカ側から建設的な回答がなければ対抗手段をとると警告しました。
ロシアはNATOがこれ以上、東側に拡大しないことを法的に保証することを求めていて、アメリカ側は今週、書面で回答するとしています。
こうした中、ロシアのラブロフ外相は26日、「建設的な回答がなければ対抗措置をとる」と述べて警告しました。そのうえで、プーチン大統領が最近、キューバやベネズエラなどの首脳と相次いで電話会談したことについて、ラブロフ氏は「軍事技術などすべての分野で戦略的パートナーシップを深めることで合意した」と述べました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/61d1a3b01385a2513e84198a037fbcd01ab7189d
なぜウクライナなのか?
ロシアは昨年12月、米国と北大西洋条約機構(NATO)に対し、ウクライナのNATO加盟を認めないことや露周辺から攻撃型兵器を撤去することなどを求める条約案を提示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c9ebf6b88c60a2df18e26f4b096610701f395a1
30年前までロシアもウクライナもソビエト連邦という国を構成する15の共和国の1つでした。
とりわけロシアと国境を接するウクライナ東部は16世紀からロシアの影響下にあり、ロシア語を話す住民が多く暮らしています。
ウクライナ東部とは民族や宗教も同じで歴史的なつながりが深いことからロシアは30年前のソビエト崩壊後もウクライナを“兄弟国”として特別な存在だと考えてきました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211218/k10013392021000.html
NATOは第二次世界大戦後にソ連などの共産圏に対抗するために欧米(西側陣営)が組織した。しかし、ソ連が崩壊してもロシアは脅威であることに変わりはなく、それに加えイスラム勢力の動きが活発化してきたので組織を存続した。一方のロシアはソ連崩壊後、旧ソ連の中で西側陣営に加わる国も増えて、ウクライナもNATO陣営に加わる行動を示していた。
ロシアからすれば兄弟と思っていた国が敵になると考えて、ウクライナ国内でロシアの影響力を強めるべく今回の行動に至ったらしい。
ロシアとウクライナの関係に詳しいウクライナ人の政治評論家、タラス・ベレゾベツ氏は、プーチン大統領の戦略について「ウクライナ国内をできるだけ不安定にさせ、ウクライナ政府の政治的・軍事的な指導力を失わせることに重点を置いている。欧米寄りの政権の信用を失わせ、唯一生き残る方法はロシアとの同盟しかないと示したいと考えている」と分析しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211218/k10013392021000.html
今回のロシアの要求拒否はいかにもアメリカらしいが、ロシアもおめおめと振り上げたこぶしを下せないだろう。
ブリンケン米国務長官はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と「数日中に」協議する意向を示したようだが、ロシアが協議に乗ってくるか、落としどころを見つけることができるかが注目される。