アサリの産地偽装の影響がハマグリにも 返品された大量のハマグリを海に
中国などの外国産輸入アサリの産地が「熊本県産」に大量偽装されていた問題で一気にブランド価値が落ちた熊本の水産物。ついにハマグリにも影響が出た。
風評被害か 一部の漁協で県産ハマグリが大量に返品
外国産のアサリが熊本県産と偽って販売されていた可能性がある問題で、県内の一部の漁協で県産のハマグリが「今は売れない」として大量に返品されていたことがわかりました。
県産のハマグリが大量に返品されたのは熊本市南区の川口漁協です。
今月3日、県外の商社にハマグリ2トン余りをおよそ300万円で販売したところ、2日後に「小売店から熊本県産は今は売れない」として返品されたということです。
このため、漁協では、返品されたハマグリを今月6日、海に戻す措置をとりました。
熊本県によりますと、今回のアサリの問題が起きてから県産の水産物が買い手がつかず大量に返品されたのは初めてだということです。
この漁協では、1か月に2度、ハマグリの漁を行っていますが、今回の小売店の反応を受けて出荷を当面、見合わせるほか、県漁連が今月10日に開く予定の入札会も中止したということです。
漁協によりますと、熊本県産のハマグリは、砂浜でとれた茶色く大きい天然ものしかなく、白っぽい中国産とは見分けることができるということです。
川口漁協の藤森隆美組合長は、「明らかな風評被害でひな祭りに向けて、需要が増加し、高値で取り引きされる時期だけに怒り以外の何物でもない。消費者に誠意を尽くして熊本産のブランドを信用してもらえるよう努力するしかない」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20220208/5000014706.html
漁業関係者は「正真正銘の熊本産。見た目で区別できるのに、風評被害は残念」と語る。また、シバエビなども取引価格が下落し、ほかの水産物にも影響が及ばないか心配の声が上がっている。
川口漁協の福島勉参事は「有明海のハマグリは在来種のニホンハマグリで、正真正銘の熊本産。見た目で区別できるのに、風評被害は残念」と肩を落とした。県漁連会長も務める川口漁協の藤森隆美組合長も「今後の入札もどうなるか分からない」と危機感をあらわにした。
一方、上天草市の天草漁協上天草総合支所が県外に出荷している有明海産のシバエビなども、2月に入ってから取引価格が下落したり、出荷量が減少したりしている。
上天草総合支所によると、関西に出荷するシバエビはこの時季、例年であれば1キロ当たり700円程度で取引されるが、今は500円程度に低迷。市場からは「出荷量も半分程度にしてほしい」と伝えられた。タチウオの出荷も現在は関西向けを控え、県内中心にとどめている。
総合支所の担当者は「アサリの産地偽装疑惑の報道が始まってからだ。これから先、ワカメやハモにまで影響が及ばないか心配だ。風評被害が長期化しなければいいが」と話した。
今回のアサリ偽装がどれだけ罪深いものかわかる。まじめに操業している人たちまで巻き込んだのだ。
風評被害といえばそうなるのかもしれないが、恨むなら偽装した業者を恨むしかない。漁協単位で熊本産のブランドの信用回復の活動するのと併せて、県に協力を訴え、大々的にPRしてもらうべきだろう。