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経済制裁の影響でロシア国債がデフォルトの可能性 反戦訴えるロシア国民には気の毒だが、プーチンが選んだ道だ




ウクライナに侵略を続けるロシアが、金融制裁の影響によりロシア国債のデフォルトが迫ってきたと産経新聞が報じた。

ウクライナ侵攻を受けた日米欧の包囲網で、ロシア国債のデフォルト(債務不履行)が迫ってきた。制裁による外貨不足で外貨建て国債の利払いができなくなるためだ。国債が〝紙くず〟になれば通貨ルーブルの信認が失墜し、物価が急騰してロシア国民の生活が破壊されかねない。いわば人為的に危機を作り出し、プーチン政権への批判を強めて撤退を促す強硬策。首都キエフ攻防戦が続く中、今月16日から大きな支払期限が相次ぐ予定で、まさに時間との戦いになっている。

「(西側の)厳格かつ協調的な制裁とロシアの債務返済意志に関する重大な懸念から、国債の返済が中断されるリスクが高まった」

格付け会社の米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日、ロシアの国債格付けを投資に適さない「投機的水準」まで6段階引き下げた際の声明で、こう指摘した。まずは16日に期限を迎える1億1700万ドル(約135億円)の利払いを監視するという。

マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストによると、年内に元本や金利の支払期限を迎えるロシアの外貨建て債券(社債含む)は2兆円超。返済原資があっても制裁で送金処理ができず利払いが滞るなどすれば債務不履行を認定されるケースもあり、「いずれにしてもデフォルトになる可能性が高い」と分析する。

ロシア国債がデフォルトすれば通貨ルーブルの価値も暴落する。ロシア国内で輸入品の価格が上昇し、急激なインフレが進む。制裁の効果で既に外国為替市場ではルーブルが急落し、輸入に頼るデジタル製品などの値段が毎日のように上がっているという。国際金融協会(IIF)によるとロシアは今年、物価上昇率が2桁に達し、2桁のマイナス成長になる恐れがある。

一方、実は数年前からロシアは制裁に備え、対外債務の支払いや為替介入に使う外貨準備を過去最大規模(今年1月時点で6302億ドル)に積み上げてきた。その過程で制裁に弱いドル建て資産を減らし、友好国である中国の人民元や、北方領土返還交渉を抱えた日本の円に振り替えている。

先進7カ国(G7)は今回、各国中銀が保管するロシアの外貨準備を一斉に凍結し、為替介入によるルーブル買い支えを防いだ。日本が〝抜け道〟にならなかったのはロシアにとって想定外だった可能性がある。

今後の焦点は制裁に加わらない中国の動向だ。人民元決済システム「CIPS」を経由すれば国際決済が可能との見方もあり、制裁の実効性にほころびが出る恐れがある。ロシア国民の不満にプーチン大統領が追い詰められるのが先か、ウクライナがロシアの手に落ちるのが先か。世界が固唾をのんで見守っている。

https://www.sankei.com/article/20220305-5V6TO7WD5VKKHMGHLBBOX73MXI/

日本が制裁に加わったことに対してバイデン大統領が日本政府に書簡を送ったことの意味がこれだ。日本が制裁に加わったことで日本円が抜け道にならなくなったからだ。

ソニーフィナンシャルグループシニアエコノミストの渡辺浩志氏は「プーチン大統領の暴挙でロシアは国際金融市場から遮断され、経済的には全てを失ったといっても過言ではない状況です」と語る。

ロシアはSWIFTから排除され、国際的な決済手段を失いました。結果ルーブルは交換価値がなくなり暴落しています。通貨防衛の常套手段は、外貨準備の売却による自国通貨の買い支えですが、西側諸国はロシア中銀が各国中銀に預けているユーロ・ドル・ポンド・円などの資産を凍結。これによりロシアは長年かけて積み上げてきた外貨準備(6,300億㌦)の約6割を一瞬で失いました。ロシア中銀は政策金利を9.5%から20%へ引き上げルーブルを防衛しようとしましたが、国家の信認が失われた今、通貨の暴落は止まらず価値は50%減となりました。通貨価値が半減すれば外貨建て対外債務は2倍に膨張します。外貨不足もあり、ロシアのデフォルトは必至の情勢です。ルーブルの暴落がデフォルトを招き、それがルーブルの失墜を招く連鎖。プーチン大統領の暴挙でロシアは国際金融市場から遮断され、経済的には全てを失ったといっても過言ではない状況です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8f58532a8cb8b55ea8786f94690325e3eadcbc67

国際弁護士の湯浅卓氏は次のように解説。

記事は一読の価値がある。岸田文雄首相はバイデン、アメリカ大統領との、テレビ電話(エマニュエル大使が仲介)以来、心から信頼の厚いパートナーと常になっている。先日、国会で鈴木俊一財務相兼金融相が、ロシア一部銀行をSWIFTから排除制裁に関し、中国の独自決済システムが抜け穴にならないように注視する、と明言したのは、アメリカから観て法的にも国際法的にも正しい。日本の金融機関やあらゆる組織はもちろん、対ロシア制裁破りを実質的にすれば、重大な法的リスクがある。日本も制裁に加わっているのだから、尚更だ。かと言って、中国の金融機関や組織が、SWIFT制裁破りなどに実質なる経済行為をすれば、それにも高い法的リスクをアメリカ法上被る。例えば、ほんの一例を挙げると、アメリカ刑事法金融法ビジネス法上、アメリカに支店などがある組織は、アメリカに組織の中国本部や中国本店がある!のと法的に同じ責任を負うからだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8f58532a8cb8b55ea8786f94690325e3eadcbc67

あとは中国がどれだけロシア経済を支えることができるかだ。中国は2月24日、ロシアからの小麦の輸入を拡大すると発表した。(参考)ロシアによる侵攻で小麦の生産地であるウクライナからの輸入が滞る可能性があるためとしているが、なにもロシアからでなくてもよかった話だ。湯浅弁護士は弁護士の観点からごもっともな解説をしているが、無法者中国共産党が右に倣えをするかは甚だ疑問だ。

もし国債の利払いができなくなればルーブルの信認は失墜し、ロシア国民の負担はさらに大きくなる。反戦を訴えるロシア国民には気の毒な話だと思う。しかし、これはプーチン大統領が選んだ選択だ。ロシア国民がプーチンを止めるしか今のプーチンは止まらないのかもしれない。







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