2022年版外交青書の原案、19年ぶりに北方領土「ロシアに不法占拠されている」
2022年版外交青書の原案に、北方領土について「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と明記された。「ロシアに不法占拠されている」の表現は2003年版以来19年ぶり。「日本固有の領土」は2011年版以来11年ぶり。
また、ロシアに対してはウクライナ侵攻を「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と非難し、中国に対しては「日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」と指摘された。
2022年版外交青書の原案が31日、判明した。北方領土について「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と明記した。「不法占拠」の表現は03年版以来、「日本固有の領土」は11年版以来の復活となる。
原案では、ロシアのウクライナ侵攻を「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と非難し、ロシアとの平和条約交渉について「展望を語れる状況にはない」と明記した。国・地域別では「中国」について、「不透明な軍事力の拡大は、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」と指摘。その上で、「日本を含む国際社会の懸念を払拭(ふっしょく)していくよう強く促していく」と強調した。
国際政治学者のアンドリー・グレンコ氏は「今まで、日本政府が展開していた対露軟弱路線は明らかに間違いだったと認めなければなりません」としたうえで「北方領土について一切譲る必要もなく、ロシアが混乱した時に全部取り返せばいいです」とツイッターで指摘。
北方領土について一切譲る必要もなく、ロシアが混乱した時に全部取り返せばいいです。ロシアの国家機関が機能不全に陥った隙に、自衛隊で返しに行くのか、あるいは占領地の維持管理が不可能になった時に、ロシア政府に返還させるのか、方法はいろいろありますが、チャンスを逃さない事が重要です。
— グレンコ アンドリー(新刊「NATOの教訓」増刷決定) (@Gurenko_Andrii) March 31, 2022
公文書研究者の有馬哲夫氏は「絶対取り戻すという不退転の決意を記述にいれよ」と指摘。
歴史的事実として「不法占拠」なのにそれを国内向けにもいえないのか?いやはや。呆れればいいのか、泣けばいいのか、笑えばいいのか。絶対取り戻すという不退転の決意を記述にいれよ。
北方領土は「不法占拠」=外交青書原案に明記 https://t.co/xBV1hLijhT— 有馬哲夫 (@TetsuoArima) March 31, 2022
ブロガーの藤原かずえ氏は「ロシアはいずれ崩壊するので、日本政府が北方領土返還までの具体的なシークエンスを戦術的に策定していつでも起動できるよう備えることは至上命令です」と指摘。
「なぜ日本はソ連崩壊という最大のチャンスに北方領土返還を要求しなかったのか」という後悔は今でも繰り返されています。ロシアはいずれ崩壊するので、日本政府が北方領土返還までの具体的なシークエンスを戦術的に策定していつでも起動できるよう備えることは至上命令ですhttps://t.co/M0xZEbD2qG
— 藤原かずえ (@kazue_fgeewara) March 31, 2022
立憲民主党の小沢一郎(事務所)氏はこれまでの対ロ外交と領土問題を振り返り、自民党政権は「万死に値する」と投稿した。
外交青書に北方領土「不法占拠」の表現復活
政権の都合で不法占拠があったり、なかったりする。北方領土問題とはそんなに軽く、いい加減なものなのか。一度なかったことにして、世界にどういうイメージを与えたか。自民党政権は取り返しのつかないことをした。万死に値する。 https://t.co/GnMnEEQLqX
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) March 31, 2022
他にもSNS上では「今まで入っていなかったのか」「奪還のチャンスを逃すな」「強い姿勢でいきましょう」などといった意見があがっていた。