自民党の安全保障調査会が「専守防衛」の見直しへ 名称や解釈を変更すべきだとの意見が上がる
従来の「専守防衛」の解釈などを見直そうという意見が自民党から上がった。
敵基地攻撃能力の保有反対勢力からすると「とんでもない話だ」となりそうだが、同じ専守防衛のウクライナを見れば、従来の専守防衛では国が荒らされるだけというのが理解できるはず。
自民党の安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は11日の会合で、憲法9条に基づく日本の防衛姿勢である「専守防衛」について議論し、名称や解釈を変更すべきだとの意見が上がった。敵基地攻撃能力の保有についても議論され、名称案などについて意見交換した。自民は政府が年末をめどに進める国家安全保障戦略(NSS)などの改定に向け、4月末までに提言をまとめ、岸田文雄首相に提出する。
専守防衛は、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する受動的な防衛姿勢を指す。その行使の態様や保持する防衛力については「自衛のための必要最小限」とされる。
一方、政府は敵基地攻撃能力の保有について、自衛権の範囲内との見解を示している。だが、相手が攻撃する前に相手領域内にあるミサイル拠点などを攻撃する場合、専守防衛の考え方と矛盾しないかとの議論が国会などでなされてきた。
11日の会合には関係議員の他、中谷元、岩屋毅、浜田靖一各元防衛相らが参加した。近年は中国やロシア、北朝鮮など近隣国が日米のミサイル防衛突破を狙った極超音速ミサイルを開発し、専守防衛を堅持してきた日本周辺の安保環境が厳しさを増していることから、相手に攻撃を断念させるために抑止力強化が必要だとの見解で一致した。その上で「専守防衛」について、「『必要最小限』では抑止力にならず国民を守れない」とする主張や、自衛のための攻撃も含めた「積極防衛」との名称変更案が出たという。
また、敵基地攻撃能力の保有について反対意見はなかった。名称については、実態に即し、国民が理解しやすい変更案として「自衛反撃能力」「領域外防衛」「ミサイル反撃力」などが挙がった。攻撃目標は相手国の発射基地などに限らず、指揮統制機能も含むべきだとの声が大勢を占めた。
日本共産党の山添拓参議院議員は「憲法9条そっちのけの乱暴さ」と批判。
自民党内で「専守防衛」について、「名称や解釈を変更すべきだとの意見が出た」という。
「敵基地攻撃能力」は、攻撃される前に相手を攻撃するという先制攻撃であり「専守防衛」と相容れない。だから専守防衛の方を投げ捨てようという。
憲法9条そっちのけの乱暴さ。https://t.co/gQ10ARz5S7— 山添 拓 (@pioneertaku84) April 11, 2022
当然こういう意見は出てくると思う。敵基地攻撃能力を先制攻撃だと理解しているのだから無理はない。SNSを見ても、敵基地攻撃能力が相手に攻撃させないための手段だと理解している人たちは今回の件について一定の理解どころか「遅いぐらいだ」といった意見も上がっている。
多くの人はウクライナの惨状を見て、従来の専守防衛=本土決戦という事で、人命の損失、インフラの破壊など危機感を感じているようだ。
ウクライナと日本の違いと言えば、ウクライナは陸続きで日本は島国という事だ。日本への侵攻となると、艦隊が押し寄せ、空軍が押し寄せ、有無も言わせずミサイルが飛んでくるだろう。包囲から侵攻されたウクライナと違い、日本の場合はいきなりミサイルが飛んでくる可能性が大きいことを考えれば、従来の専守防衛で対応していてはウクライナよりも深刻なダメージを受けかねないことを視野に入れるべきだ。
核保有国が戦争では使わないと言いながらも核を破棄しないのも、相手に攻撃させないためなのだ。だが、現状の日本では核の保有は無理な環境なので、それに類似する方法を模索するしかないのだ。それが敵基地攻撃能力の保有と専守防衛の見直しなのだ。