英米豪が日本に「AUKUS(オーカス)」参加を打診
産経新聞の独自取材で、英米豪が「AUKUS(オーカス)」に日本が参加するよう非公式に打診していることが分かった。
米国、英国、オーストラリアの3カ国がインド太平洋地域の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に日本の参加を打診していることが12日、分かった。極超音速兵器開発や電子戦能力の強化などで日本の技術力を取り込む狙いがあるとみられる。日本政府内ではAUKUS入りに積極的な意見がある一方、米英豪3カ国とは2国間の協力枠組みがあるため、参加の効果を慎重に見極める考えもある。
複数の政府関係者によると、米英豪3カ国はそれぞれ非公式に日本のAUKUS参加を打診。極超音速兵器や電子戦能力のほか、サイバー、人工知能(AI)、量子技術などの先端技術分野で、日本の技術力との相乗効果に期待がある。
岸田文雄首相が3月27日に行った防衛大学校卒業式の訓示で、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を目指す上で米国以外のパートナー国として挙げた2カ国が英豪だった。日本は英豪両国とそれぞれ「戦略的パートナーシップ」を結んでおり、防衛装備品・技術移転協定も締結している。
日本はFOIPに向けた取り組みを主導してきた。AUKUS参加に前向きな政府関係者は、台頭する中国に対抗する上でも米国と同盟国を中心とした枠組みが必要と主張する。一方、日本は米英豪3カ国とそれぞれ2国間の協力枠組みを持っている。原子力潜水艦など日本が参加できない分野もあり、AUKUSと協力するとしても当面は個別分野での協力に限定すべきだとの見方もある。
AUKUSはオーストラリア(Australia)、英国(UK)、米国(USA)の国名の一部をとった造語。仮に日本(Japan)が参加した場合、「JAUKUS(ジョーカス)」などの名称が想定される。
政治学者のグレンコ・アンドリー氏は昨年末に「いずれ日本のAUKUS入りを視野に入れるべきです」と訴えていた。
日豪の協力は対中抑止には不可欠です。西太平洋で自由民主主義の価値観を完全に共有している国は、日豪と台湾だけだから、日豪台はこれから最前線となる軸です。安保協力を強化し、いずれ日本のAUKUS入りを視野に入れるべきです。独裁に対して、連帯が一番効果があります。https://t.co/4qwMaEOQIO
— グレンコ アンドリー(新刊「NATOの教訓」増刷決定) (@Gurenko_Andrii) December 30, 2021
この協定は、潜水艦や自律型無人潜水機、長距離攻撃能力、敵基地攻撃能力などの軍事分野やサイバー戦争の抑止のためのサイバーセキュリティ、人工知能 (AI)、また近年研究開発が進む量子コンピュータを用いた暗号化技術を念頭に量子技術といった最先端テクノロジーの開発を主要な対象としている[9][16][17]。また、アメリカとイギリスとについては、核弾頭を搭載した弾道ミサイルなどを含む核兵器インフラストラクチャ―に関するコンポーネントも含まれている[1]。協定は軍事面に焦点を合わせたもので、ニュージーランドとカナダも含まれる情報共有に関する枠組みであるUKUSA協定(ファイブ・アイズ)とは別の枠組みとなっている[18]。
引用元 AUKUS
岸田総理は大型連休中に東南アジアや英国訪問を調整しており、実現すれば「力による一方的な現状変更」を認めない方針の確認と「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた協力について協議するという。
岸田文雄首相は12日、4月下旬からの大型連休中にベトナムとインドネシア、タイの東南アジア3カ国と英国を歴訪する方向で調整に入った。
ウクライナ侵攻を続けるロシアや、東・南シナ海で覇権主義的動きを強める中国への対応で各国と連携を図る。政府・与党幹部が明らかにした。
一連の外遊で首相は、「力による一方的な現状変更」を認めない方針を各国首脳と確認したい考え。「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた協力についても協議する。ロシアと伝統的に友好関係にあるベトナムをはじめ、東南アジアには対ロ制裁に慎重な国もあり、足並みをそろえることができるかが焦点だ。
英国訪問が実現すれば直接オーカス参加を打診されるかもしれない。
元外務審議官の田中均氏は次のようなことを語っていた。
「トランプ前大統領の場合、“アメリカが”中国に交渉し圧力をかけ、制裁をかけるというアプローチだったが、バイデン大統領になってからは、“国際協力として”というアプローチになり、最初に焦点が当てられたのが海洋国家によるクアッドだ。これ自身は防衛構想でも安全保障構想でもなく、気候変動やコロナ対策で協力しようということで、インフラをシルクロードに作るという中国の“一帯一路”構想に対抗するものになることは間違いない。オーカスについては、“戦争するときは3人一緒にやるんですよ”というものだ。私は以前、“一緒に戦争ができるとすれば、どことやるか”とアメリカに聞いたことがあるが、“間違いなくイギリスとオーストラリアだ”と言っていた。彼らは武器の整合性もあるし、共同作戦が可能だ。だからいざというときには軍事的な協力をしましょうということが背景にある」。
引用元 自民党総裁選でも議論される“対中政策”、元外務審議官・田中均氏は「中国を変えていくという努力をしなければならない」
英米豪と安全保障上でより連携を深めるのであれば、オーカス参加について前向きに議論すべきだろう。