【国連】米国が総会決議案を準備、中露の「特権の乱用」の抑止を図る 日本も共同提案国に加わる方針
米国が国連安保理事会で常任理事国が拒否権を行使した場合は、国連総会を自動的に招集することを義務付ける総会決議案を準備していると発表。
拒否権行使について総会で説明を求め、ロシアや中国を念頭に乱用の抑止を図る。
ウクライナ侵攻を非難する安保理決議案がロシアの拒否権行使で廃案となったことを受けての動きだ。
米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は12日、安全保障理事会で常任理事国が拒否権を行使した場合は、国連総会を自動的に招集することを義務付ける総会決議案を準備していると発表した。拒否権行使について総会で説明を求め、ロシアや中国を念頭に乱用の抑止を図る。来週にも正式提案する。
同大使は12日の声明で「常任理事国は拒否権を行使する場合、その決議が平和と安全の維持を促進しないと考えた理由を説明すべきだ」と強調。ウクライナ侵攻を非難する安保理決議案などロシアが拒否権を行使した事例を列挙し「特権の乱用」だと非難した。
決議案はリヒテンシュタインなどが主導し、現時点で米国など38か国が共同提案国に名を連ねている。総会議長は拒否権発動から10日以内に総会会合を招集し、安保理は、総会会合の72時間前までに拒否権行使に関する報告書を提出するよう求める内容だ。
常任理事国の拒否権を巡っては、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が5日の安保理会合で、安保理がロシアの拒否権により機能していないと批判し、改革を訴えていた。
拒否権の制限には国連憲章の改正が必要で、加盟国の3分の2以上が賛成し、全常任理事国を含む3分の2以上の国で批准されることが条件となる。今回の決議案は憲章の改正には踏み込まず、常任理事国に全加盟国が参加する総会での説明責任を設けることで「拒否権行使に重みを加え、乱用を抑える」(国連外交筋)狙いだ。
日本政府もこの決議案の共同提案国に加わる方針を表明。
政府は、国連安保理の常任理事国が拒否権を行使した場合、自動的に総会を開いて説明を求める総会決議案の共同提案国に加わる方針を決めた。
松野博一官房長官が14日の記者会見で明らかにした。松野氏は「常任理事国による拒否権の行使は一般に最大限自制されるべきだ」と語った。
今回のように、紛争当事国が常任理事国であった場合、その国に拒否権を持たせていたシステムがおかしいのだ。記事には「特権の乱用」とあるが、まさに現状では「特権の乱用」のやりたい放題だ。