小野寺五典元防衛相、防衛費について「色んな必要性を考え積み上げると2%に達する」
自民党安全保障調査会がまとめた国家安全戦略などの提言案が報じた。
ポイントは▽防衛費は対GDP比2%の水準が必要。5年で達成を目指す▽ミサイル攻撃に対処する「敵基地攻撃能力」の攻撃対象には、発射基地だけでなく、司令部も含む▽中国への認識を「脅威」に強める▽原子力発電所の防護に自衛隊を投入しやすい体制を整備。
最も重要なのは「防衛費は対GDP比2%の水準が必要。5年で達成を目指す」ではないだろうか。
政府が年末に予定する国家安全保障戦略など3文書の改定に向け、自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)がまとめた提言の原案が判明した。ロシアのウクライナ侵攻や中国の台頭など厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、防衛費の対国内総生産(GDP)比2%を5年で達成する目標を掲げた。
原案では、「力による一方的な現状変更は、東アジアにおいても例外ではない」との認識を示し、「防衛力の抜本的な強化は一刻の猶予も許されない」とした。GDP比2%の国防費を共通目標とする北大西洋条約機構(NATO)の加盟国と同様の水準確保を求め、「5年を目途に達成を目指す」との文言を盛り込んだ。
自衛目的でミサイル発射基地などを破壊する「敵基地攻撃能力」は、「専守防衛の考え方の下で保有」すると明記。攻撃対象は「ミサイル基地に限定されるものではなく、指揮統制機能なども含む」と整理した。継続的なミサイル発射を止めるために、攻撃を指揮する司令部も攻撃対象とする必要があるとの判断からだ。
中国への認識は安保上の「脅威」と強める。ロシアは「現実的な脅威」か「非常に強い懸念」とする方向で調整する。ウクライナで原子力発電所が標的となったことを念頭に、原発防護に自衛隊を投入しやすい体制の整備が必要とした。
3文書のうち、防衛計画の大綱は「国家防衛戦略」に、中期防衛力整備計画は「防衛力整備計画」に変更することも促した。
◆自民党提言(原案)のポイント
▽防衛費は対GDP比2%の水準が必要。5年で達成を目指す
▽ミサイル攻撃に対処する「敵基地攻撃能力」の攻撃対象には、発射基地だけでなく、司令部も含む
▽中国への認識を「脅威」に強める
▽原子力発電所の防護に自衛隊を投入しやすい体制を整備
防衛費について、小野寺五典元防衛相はBSフジLIVE プライムニュースで、「色んな必要性を考え積み上げると2%に達する」と訴えた。
【防衛費 GDP2%】
小野寺五典「自衛隊の現場では航空機・哨戒機や様々な装備の”稼働率”が落ちている。十分な予算が無く部品が無く整備もできないから。🇺🇦の戦争をみれば、弾薬含め長期的な交戦能力も必要。更に研究開発費は韓国の1/3で、研究も必要。色んな必要性を考え積み上げると2%に達する」 pic.twitter.com/phQjBsQjpV
— ピーチ太郎2nd (@PeachTjapan2) April 16, 2022
動画⇒「『金正恩がプーチン支持 露侵攻で軍事力強化? 小野寺×森本が安保論』【後編】」
安倍晋三元総理も14日、安倍派会合で「(日本も)NATO並みの目標を示していくべきだ」と述べた。
欧米諸国が加盟するNATOのうち、防衛費を抑制していたドイツも、ロシアによるウクライナ侵攻直後にGDP比2%へ引き上げる方針を示した。安倍氏は「ドイツは決意を示した。日本の独立は私たち自身の手で守り抜くという決意を予算において示していきたい」と述べた。
安倍氏は現在の防衛費の問題点を列挙し「制約の中で帳尻を合わせてきたのが現実だ」と指摘。宇宙・サイバー分野の研究開発や国内防衛産業への投資などを「計画的に行うために当初予算でしっかりと付ける」必要性があるとした。
政府が年末までに改定する国家安全保障戦略など外交・安全保障政策に関する3文書に関し「その方向(NATO並みの目標を明記)で検討してもらいたい」とも述べた。
岸信夫防衛相も4月5日の記者会見で「NATOという民主主義国家の集まりが安保環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、GDP比は指標として一定の意味がある」との考えを示した。(参考)
また、岸田文雄総理も1月21日の参院本会議の各党代表質問で「金額、結論ありきではなく、現実的な議論の結果として必要なものを(予算に)計上する」と述べ、GDP比1%の枠に縛られない考えを示している。(参考)
個人的には自衛隊員の環境があまりよくないと言われているので、防衛費増大の中に自衛隊員の環境改善も含めて欲しいと思う。