【日曜報道 THE PRIME】「反撃能力」の保有について、賛成94%、反対4%、どちらとも言えない2% 自民・小野寺氏「この問題の根幹は、日本が変わったのではなく、国際社会と攻撃のされ方が変わったということ」
フジテレビの『日曜報道 THE PRIME』で、指揮統制機能も対象となる「反撃能力」の保有について視聴者アンケートをとったところ、賛成94%、反対4%、どちらとも言えない2%という結果となった。
【日曜報道 アンケート】
Q:指揮統制機能も対象となる「反撃能力」の保有について
賛成 94%
反対 4%
どちらとも言えない 2%ここまでハッキリした結果が出るとは…
これはぶったまげた‼️😱
態度を保留にする人の少なさから、多くの国民がしっかり考えていることがわかるね🤔 pic.twitter.com/kwKBeILf1S
— ピーチ太郎3rd (@PeachTjapan3) April 24, 2022
投稿者も驚いているが、私も見ていたが私の予想よりかなり多かった。先日行われたFNN・産経の世論調査では、防衛費について「増やすべき」が57%で、「緊急事態条項」を憲法に新設することについては「賛成」が72・4%だったから、賛成は70~75%くらいかと予想していたが、思っていたよりも国民の関心が高いことに驚いた。同時に、国際的な考えが日本国内で周知されてきたんだなぁと感じた。良い傾向だ。
しかし、番組では自民党の小野寺五典元防衛相と立憲民主党の小川淳也政調会長の討論があり、圧倒的な小野寺氏の解り易さと知識に対して、顔を強張らせていた小川氏とでは明らかに役者が違った。番組途中とはいえそういった両者を比較してこのような圧倒的な数字になったのかもしれない。
番組では「反撃能力」について次のようなやり取りがあった。なぜ「反撃能力」が必要かなのか、重要な事を小野寺氏が解り易く説明している。
橋下徹氏(番組コメンテーター、元大阪府知事、元大阪市長):
日本の安全保障議論で大混乱しているのは、戦争前の話と戦争(開始)後の話がごっちゃになっているから。弾道ミサイルを日本が持ったからといって、モスクワを攻撃するかどうかというのは戦争(開始)後の話だ。その時には抽象的な理念よりも、目の前の国民のことを考えて、国民が犠牲にならないような軍事力の行使をしなければいけない。(弾道ミサイルを)持ったからといって必ずそれで攻撃するかどうかは別の話だ。それはきちんと政治が国家の破滅に至らないような武器の行使の仕方をしなければいけない。ただ、戦争前の話で、小川さんに考えていただきたいのは、憲法9条問題、自衛のための措置に関する砂川判決の「国際情勢の実情に即して適当と認められるものを選ぶことができる」ということ。政治家がきちんと適当なものを選ぶはずがいつの間にか内閣法制局の解釈で「必要最小限」の枠を勝手にはめてしまった。自衛権はもともとは必要性と均衡性、即時性だ。均衡性は相手に合わせてこちらも力を持つと。戦争が始まらないように、相手の力に合わせてこちらもそれなりを持つということが、いつの間にか内閣法制局の「必要最小限」になってしまった。相手が弾道ミサイルを持つのであれば、こちらも持つべきだ。相手が長射程(ミサイル)を持つのなら、こちらも持つ。そのことによって戦争を防ぐ。ただ、いざ戦争が始まり、それを使うかどうかは国民が犠牲になるか、ならないかをもとに判断する。この整理は必要だ。小野寺氏:
「必要最小限」という言葉があるが、自衛隊が災害救助に行って国民を守っている時に「必要最小限にしてほしい」とは誰も言わない。災害救助でも国民を守る。日本が攻撃された時、日本の国民があのように(ウクライナ国民のように)やられている時には、自衛隊は全力で国民を守る。必要最小限というのは「必要な時には合理的な範囲の中で対応する」ということ。小川氏:
白地から議論するのならそのとおりだ。戦後77年、日本は日米安全保障条約体制下で特殊な歴史を歩んできた。仲間がいないと攻撃されるという議論に関しては、日米安全保障条約という確固たる条約がある。打撃力をアメリカに頼った状態で、日本としては専守防衛、盾の役割をやっていくという関係性の下で77年歩んできた。それで言うと、相手領域内への打撃力を日本が持つと、それが先制的な攻撃になる可能性がある。その尻を拭く形でアメリカが出動するのか。小野寺氏:
それは違う。専守防衛、盾と矛の関係が今までなぜ成り立ってきたか。弾道ミサイルなどの装備が出てくる前は、爆撃機が来る、戦闘機が来る、戦艦が来る、というのは時間があった。「あ、来ているぞ」、「危ないぞ」という時に、まずは自衛隊が守っている中で、アメリカが大きな打撃力を行使してくれる。だからこのときは盾と矛の軍事合理性はあった。今は防衛装備が全く変わり、十数分で(弾道ミサイルが)飛んでくるようになった。こうなると、日本が攻撃された、アメリカ大統領に電話して「助けてほしい」。アメリカ大統領は閣議を招集して議会関係者に説明して、「わかった、行く」と言ったら数日かかる。日本は焦土となってしまう。この問題の根幹は、日本が変わったのではなく、国際社会と攻撃のされ方が変わったということ。攻撃のされ方が変わったことに対応するために、やむを得ない形で、まずはここを食い止めなければ、アメリカの最終的な来往が待てない。こういう緊迫感があるので、反撃能力は必要だ。小川氏:
一方、実力装備優先の議論がかえって緊張を高めることや、長年日本が大事にしてきた平和国家としてのブランドを毀損する可能性もある。そういう慎重な意見も国内にはある。私たちはそれを代弁する責任がある。あえて慎重に抑制的な立場から議論をさせてもらっている。もう1つ、これだけ是非議論させてほしいのだが、まさになぜ戦争に至ったのかという外交プロセス。プーチン大統領を許すつもりはないし、言語道断だと思っている。しかし、アメリカのミサイル防衛制限条約を一方的に撤廃したブッシュ政権の歴史。そして、中距離核戦力を全廃したトランプ政権の歴史、そして、NATOの国境線がどんどん旧ソ連の国にまで及んできた歴史。ジョージアとウクライナに「NATOに入れ」と言ったのは、当時、ブッシュ政権下で国防産業との関わりが深かったチェイニーだ。メルケル氏(ドイツ前大統領)が、それはロシアを刺激しすぎるからダメだと言っていた。こういう国際的な全体バランスを考える外交努力や国際対応を積み重ねてきたのか。また、ゼレンスキー政権も相当ロシアに対しては強行的な姿勢をとってきた。松山キャスター:
小川さんから「自民党の中での議論は前のめりすぎだ」との意見があったが。小野寺氏:
まず訂正しておきたい。アメリカがミサイルの協定から出たというのは、中距離のミサイルで、各国とも中距離のミサイルを持たないようにしようと約束したのだが、中国は入ってないためどんどん持つようになっている。ロシアは実は、別な形で作っている。今、東アジアでの中距離弾道ミサイルは、ロシアと中国で1,900発だ。それには日本を狙っているものも含まれている。アメリカと日本は1発もない。ゼロだ。勝手に抜け穴でやってる人たちに対抗するために、アメリカが(条約から)抜けて同じようなものを持たなければ、抑止力にならない現実がある。あくまでも平和を守るために自分たちが力を高めなければ、だめだというのが、今回のウクライナ情勢が示す現実だ。こちらから攻撃することはない。やられた時にやるということだ。日本の周りには中国、ロシア、北朝鮮がある。今回、自民党は脅威見積もりを変えた。この3カ国は連携している。世界でこういう複合事態がもしかしたらあるかもしれないという国は日本だ。日本が一番いま、危機感を持たなければいけない。
今まで守ってこれたからという考えの方が「反撃能力」の保有について反対をしているのだろう。しかし、戦後70年以上が経過し、戦争のスタイルが変化し、従来の方法ではこれからの安全保障を維持できないから見直すべきと小野寺氏は訴える。
小川氏の主張はことごとく小野寺氏に論破され、ついには橋下氏にまで諭される一幕もあり、完全にサンドバック状態だった。
SNSを見ても小野寺氏と小川氏に対する反応は明確に分かれていた。しかし、番組としてはこれでよかったのかもしれない。小川氏の主張には賛同できないが、それがあったからこそ小野寺氏の解り易い解説が聞けたと思っている。個人的には見応えがあった。