【サンデーモーニング】「攻撃能力」について、青木理氏「そんなに戦争をしたいんですかっていう風に問いただしたくなる」
TBSの『サンデーモーニング』に出演したジャーナリストの青木理氏が、自民党の安全保障調査会の提言案、「敵基地攻撃能力」から「反撃能力」に名称を変更し、指揮統制機能も対象とすることに「そんなに戦争をしたいんですかっていう風に問いただしたくなる」と持論を展開した。青木氏に限らず、反対の意見を述べる人たちは概ね同じ主張をしている。
ジャーナリストの青木理氏が24日、TBS系「サンデーモーニング」に出演し、自民党政権に対して「そんなに戦争がしたいんですか」と疑問を投げかけた。
自民党の安全保障調査会が「敵基地攻撃能力」という名称を「反撃能力」に変更し、「反撃能力」の対象に司令部など「指揮統制機能等」を追加する提言案を出した。
青木氏は「武器輸出三原則」を「防衛装備移転」に、「共謀罪」を「テロ等準備罪」にしたことなどを例に「言葉を置き換えて、本質をそらしてごまかしていこうっていう発想」と指摘。続けて「中枢を攻撃するなんていったら、単なる先制攻撃」とし、「専守防衛という日本の戦後の防衛体制、安全保障体制を根本から変えるっていうことになる。それでいいのか」と言葉に力を込めた。
さらに、安全保障は「周辺国と関係を良好に保つ、維持する努力をする必要がある」と前提し「この何年かの日本を見てると、中国や北朝鮮はもちろん、韓国とまでいがみ合っていて、まったくそれを改善しようっていう努力が見られなくて」と指摘。一方で防衛力については「目の色を変えて前のめり」とし、「そんなに戦争をしたいんですかっていう風に問いただしたくなる」とあきれるように語った。
「専守防衛という日本の戦後の防衛体制、安全保障体制を根本から変えるっていうことになる。それでいいのか」と青木氏は指摘しているが、この考えこそが戦後から思考停止している。ウクライナ情勢を対岸の火事と思っている証拠だ。
先ほども他の記事で紹介したが、フジテレビの『日曜報道 THE PRIME』に出演した自民党の小野寺五典氏が非常にわかりやすく解説していたのでここでも引用させていただく。
小野寺氏:
それは違う。専守防衛、盾と矛の関係が今までなぜ成り立ってきたか。弾道ミサイルなどの装備が出てくる前は、爆撃機が来る、戦闘機が来る、戦艦が来る、というのは時間があった。「あ、来ているぞ」、「危ないぞ」という時に、まずは自衛隊が守っている中で、アメリカが大きな打撃力を行使してくれる。だからこのときは盾と矛の軍事合理性はあった。今は防衛装備が全く変わり、十数分で(弾道ミサイルが)飛んでくるようになった。こうなると、日本が攻撃された、アメリカ大統領に電話して「助けてほしい」。アメリカ大統領は閣議を招集して議会関係者に説明して、「わかった、行く」と言ったら数日かかる。日本は焦土となってしまう。この問題の根幹は、日本が変わったのではなく、国際社会と攻撃のされ方が変わったということ。攻撃のされ方が変わったことに対応するために、やむを得ない形で、まずはここを食い止めなければ、アメリカの最終的な来往が待てない。こういう緊迫感があるので、反撃能力は必要だ。
第二次世界大戦から戦争のやり方、攻撃能力は全く違うものに変貌した。日本を守るための対応はその時代に沿って変化して当然だ。番組では小野寺氏も日本から戦争を仕掛けないことを前提としていた。「専守防衛」の精神は保持しつつも「攻撃したらやり返す」能力を持つことで外交交渉で対等の立場を保つことができるのだ。それが戦争回避だ。「そんなに戦争がしたいのか」と訴える人には「そんなに日本が信用できないのか」と言いたい。
青木氏は「防衛装備移転」と「テロ等準備罪」をとりあげ「言葉を置き換えて、本質をそらしてごまかしていこうっていう発想」と指摘しているが、それにより政府が暴走しただろうか。国民に不具合を与えただろうか。
また、サンデーモーニングはかつて集団的自衛権も大反対していたが、ウクライナは集団的自衛権を発動する仲間を持たない専守防衛の国だったからロシアの侵略を受けたと言っていいだろう。これでわかるように、世界の安全保障は集団的自衛権のもとで保たれているように、「攻撃能力」の保持が戦争回避につながるのだ。「そんなに戦争がしたいのか」と訴える人たちこそ本質を見ていないと言えよう。