【機能しない国連安保理】北朝鮮への制裁強化の決議案を米国が提出するも、中露の拒否権で否決 松野官房長官「極めて残念」
またも国連安保理が機能しなかった。
相次ぐ弾道ミサイルの発射を受けて、北朝鮮に対する制裁を強化する決議案を国連安保理にアメリカが提出したのだが、中国とロシアが拒否権を行使して否決された。
北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルの発射を受けて、国連の安全保障理事会で、北朝鮮に対する制裁を強化する決議案の採決が行われましたが、中国とロシアが拒否権を行使して否決されました。
安保理ではウクライナ情勢をめぐって欧米各国とロシアが鋭く対立していますが、北朝鮮をめぐっても一致した対応をとれず、安保理の機能不全が改めて浮き彫りになりました。北朝鮮に対する制裁を強化する決議案は国連安保理にアメリカが提出したもので、採決は26日午後、日本時間の27日午前6時前に行われました。
採決の結果、▽理事国15か国のうち13か国は賛成しましたが、▽中国とロシアがそろって拒否権を行使して決議案は否決されました。
決議案は、▽国連加盟国が北朝鮮に輸出できる原油や石油精製品をこれまでの制裁決議で定めてきた量からさらに削減するほか、▽新たにたばこなどの輸出を禁止するものでした。
また、北朝鮮がサイバー攻撃によって核・ミサイル開発の資金を獲得していると指摘されていることから、北朝鮮のハッカー集団の資産を凍結するとしていました。
安保理ではウクライナ情勢をめぐって欧米各国とロシアが鋭く対立し、軍事侵攻を非難する決議案をロシアがみずからの拒否権で否決するなど、安保理の機能不全が指摘されてきました。
安保理決議に違反して弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮をめぐっても、▽欧米各国がいっそう圧力をかけるべきだとしたのに対し、▽中国とロシアは制裁を緩和すべきだと主張して歩み寄ることはできず、欧米と中国やロシアの分断が際立つかたちとなりました。
松野博一官房長官は「極めて残念」とコメント。
松野博一官房長官は27日午前の記者会見で、国連安全保障理事会が北朝鮮への制裁を強化する米国作成の決議案を採決し、中国とロシアが常任理事国として持つ拒否権を行使して否決したことについて「極めて残念だ。安保理が平和および安全の維持という本来の目的を果たすことを期待する」と述べた。
松野氏は「今回の決議案否決は拒否権の問題を改めて浮き彫りにした」と強調。「国連安保理は国際社会の現実を反映するように改革し、諸課題により効果的に対処できるようにすべきだ」とも語り、日本の常任理事国入りを含む安保理改革の実現や国連全体の機能強化に向け、日本がリーダーシップをとる考えを示した。
平和と安全を脅かす行為に国連安保理が対応できないのだ。欧米と中露が対立している限り、この状態は続くだろう。かといって価値観を共有できない限り互いの歩み寄りも期待できない。バイデン大統領が日米首脳会談で、日本の常任理事国入りを支持したが、現状では夢のまた夢だ。
この状態で安保理改革が実現できるのか心配だ。