国連のバチェレ人権高等弁務官、ウイグル訪問で「少数民族の人権に与える影響について懸念と疑念を中国側に提起した」
国連のバチェレ人権高等弁務官がウイグルを訪問し、「新疆への訪問では、対テロ政策として行われている手法がウイグルやその他の少数民族の人権に与える影響について懸念と疑念を中国側に提起した」と説明した。
国連のバチェレ人権高等弁務官は28日夜、中国広東省と新疆ウイグル自治区の訪問(6日間)を終え、オンラインで記者会見を開いた。バチェレ氏は「新疆への訪問では、対テロ政策として行われている手法がウイグルやその他の少数民族の人権に与える影響について懸念と疑念を中国側に提起した」と説明。「特に対テロ政策などに関する見直しを行い、国際的な人権基準に合わせるように促した」と強調した。
中略
バチェレ氏は近く、自治区の人権状況を巡る報告書を公表する予定だ。今回の新疆訪問は「調査との位置づけではない」としながらも、今回の訪問で受けた印象などが報告書に反映される可能性も示唆した。
記者会見に先立ち、英仏などは中国に対し「制限なしの視察」を求めていた。英国のトラス外相は24日に発表した声明で、報道に触れ「バチェレ氏は制限なしのアクセスを認められるべきだ。そうでなければ中国側が何か隠そうとしているということになる」と指摘。フランスのコロナ外相も25日、電話協議した中国の王毅国務委員兼外相に対して「バチェレ氏が妨げられずに拘束施設など自ら選んだ場所を訪問し、人々と交流できる」よう要求した。
国際社会からこうした懸念の声が上がるのは、中国側が一貫して自治区での人権問題の存在を否定し、国際社会による非難を「政治利用だ」と反発しているためだ。バチェレ氏が25日にオンラインで中国の習近平国家主席と会談した際、習氏は「人権問題で他国に対して教師面をすべきではなく、それを口実に内政干渉すべきでもない」と述べ、改めて自治区を巡る人権問題に対する批判に強く反発した。
果たしてバチェレ氏は「制限なしの視察」が出来たのだろうか。
最近ではウイグルに関する内部資料がメディアに流出し、中国政府が職業訓練所としていた施設も能力的に強制収容されたことが確認された。
中国当局から流出した新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)に関する数万点の内部資料が24日、米団体により公開された。資料には数千枚の写真や公文書が含まれ、同自治区でウイグル人などの少数民族が暴力的な手段で収容された実態が改めて浮き彫りとなった。
資料は、匿名の人物が新疆の公式データベースをハッキングして入手し、米NPO「共産主義犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)」に所属するドイツ人研究者アドリアン・ツェンツ(Adrian Zenz)氏に提供。ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)国連人権高等弁務官による新疆訪問を控え公開された。
活動家によると、新疆ではイスラム教徒を中心とするウイグル人ら少数民族100万人以上が収容所や刑務所に収容されてきた。一方、中国政府はこれら施設を職業訓練所としており、強制収容の事実はなく、過激な宗教思想の根絶を目的とした施設だと説明している。
だが、公開された写真や文書からは、収容が自発的なものではなかったことや、習近平(Xi Jinping)国家主席をはじめとする政権上層部が厳しい取り締まりを呼び掛けていたことが示されている。
さらに、警察から流出した被収容者の写真2800枚以上も公開された。こうした被収容者の中には、違法な演説を聞いたとして拘束された17歳や、別の被収容者の親族だという理由で拘束されたとみられる16歳も含まれている。
AFPが先に入手した警察の名簿でも、一度に数百人の住民が捕らえられ、一つの世帯から多数の人が拘束されることも頻繁にあったことが示されている。今回の資料の一部は、英BBCや仏紙ルモンド(Le Monde)などの報道機関によって信ぴょう性が確認された。
国際社会では大問題となっている問題なのに、わが国のメディアの取り上げは非常に小さい。人権問題にうるさい方々もなぜかこの問題には消極的に見える。いったいなぜだろう?
日本ウイグル協会の副会長も中国非難決議の参院での採択など、国会としての対応を求めた。
中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区での中国当局による人権侵害に関し、2万人分以上の収容者リストなど内部資料数万件が流出したことを受け、日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長らが27日、超党派議連「日本ウイグル国会議員連盟」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)に対し、中国非難決議の参院での採択など、国会としての対応を求めた。
同議連事務局長の三ツ林裕巳衆院議員(自民党)と面会したアフメット氏は「これ以上の証拠はない。より多くの国会議員に知っていただき、改めてウイグル問題への対応を国会として力強く推し進めていただきたい」と訴えた。三ツ林氏は議連会合を近く開く方向で調整していることを伝えた。
もっと日本国内で問題視しなければいけない問題だ。それこそ、ウイグルの強制収用や強制労働は日本にとって他人事ではない。今騒がれている太陽光パネルやウイグル産の綿製品など、ウイグルの強制労働にかかわっている可能性があるからだ。メディアが取り扱わないのは何らかの利権やらスポンサー関連などの影響があるのかもしれないが、国会はこれを堂々と問題視し、参院でも中国非難決議を可決させてほしい。