玉城デニー知事が2期目を目指し出馬表明 基地反対ばかり目立つが公約達成率は?
沖縄県の玉城デニー知事が2期目を目指し、9月に実施される県知事選挙に出馬する意向を表明した。オール沖縄が支援する。自民党は前宜野湾市長の佐喜真淳氏を擁立する予定。
玉城知事は普天間基地の辺野古移設について改めて反対の姿勢を強調。重要な争点にする様子だ。
沖縄県の玉城デニー知事(62)は11日、那覇市内で会見し、任期満了に伴う知事選(8月25日告示、9月11日投開票)に出馬すると表明した。米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設に反対する「オール沖縄」勢力が支援する。知事選には自民党が擁立した前宜野湾市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏(57)も出馬予定で、4年前の前回選と同じ対決構図になる。
玉城氏は会見で、「これまで新型コロナウイルスなどの災害と戦ってきた。これからも知事として、県民の命と暮らしを支える施策を重点的に進めていく」と強調。争点の辺野古移設については、「新基地の完成まで何年かかるか分からず、断固として認められない」と、改めて反対を訴えた。
中略
一方、自民党沖縄県連は先月、再び佐喜真氏を擁立すると決定した。佐喜真氏は「新型コロナで大ダメージを受けた県経済に光を当て、県民のために尽くす」としている。
知事選では、玉城氏の政治姿勢や県政運営に対する評価、新型コロナ対策、辺野古移設問題などが争点となる。ロシアによるウクライナ侵攻で県内世論も変化しており、来月の参院選とあわせ前回以上に激しい選挙戦となりそうだ。
玉城知事は、那覇市内のホテルで会見を開き、ひとり親世帯やヤングケアラー家庭への支援を広げることなど、「誰一人取り残さない施策」を進めるとして知事2期目への挑戦を表明しました。
普天間基地の辺野古移設問題については「基地が完成するかは不透明であり、(移設は)認められない」と改めて移設反対の姿勢を強調しました。
玉城知事「普天間基地の1日も早い危険性の除去は最大級の課題であり、機能を新たに加えて建設する辺野古新基地は断固として認められません」
2期目を目指すのはいいが、公約の達成率はどうだろうか。琉球新報は就任3年を迎えた昨年9月の時点で達成率は1.7%と報じていた。
玉城デニー沖縄県知事は21日の県議会代表質問で、来月4日に就任3年を迎えることに関し、公約291件のすべてに取り組んだものの、これまで完了したのは5件だと明らかにした。達成率は約1・7%となる。完了していないが「辺野古新基地建設反対」など積極的に取り組んでいる「推進中」の公約は280件、調査や検討、要請段階の「着手」にとどまったのは6件だと説明した。
玉城知事のオフィシャルサイトに「2018年知事公約」がまとめられているが、「2020年初頭から県内はもとより、全国で世界中で新型コロナウイルス感染症の影響が続いています。県内経済をはじめとするあらゆる分野への打撃は大きく、知事公約に掲げたことの一部には今後見直しをする必要も考えられます。より安全で安心な島沖縄の実現を目指し、新たな課題にも真摯に取り組んで参ります。」と添えられていた。
確かに新型コロナの影響は大きいと思うが、それは沖縄県だけではない。玉城知事の言いようではコロナ対策にパワーを注ぐために知事公約を見直さざるを得ない受け取れるが、自民党は公約達成率とともに、玉城県政のコロナ対策についても問題視した。
実行力伴わない玉城県政
「公約291件中、完了したものは5件」。驚きの答弁が飛び出したのは昨年9月の沖縄県議会。知事選で掲げた公約の達成率を問われた玉城知事は、達成率がわずか1・7%にとどまっていることを自ら認めたのだ。
達成したものの中には「カジノ誘致反対」といった、予算を伴わないものも含まれ、多くの公約について「推進中」としているが、玉城知事の県政運営に実行力が伴っていないことは明白だ。
沖縄県は平成30年に観光客数が初めて1000万人を突破する等、観光を軸にした経済発展が期待されていた。しかし、新型コロナウイルス感染症は県経済に大きな打撃を与えた。特に沖縄県は新規感染者数が全国に先駆けて拡大する傾向にある。今年4月には再び1日当たりの新規感染者数が1500人を超えるなど、いまだ感染拡大に歯止めがかからない。
その一因とされるのがワクチン接種の遅れだ。沖縄県は4月25日時点で、全国で唯一3回目接種が40%に届かず、2回目接種率も70%程度で全国平均を10%下回る。1週間平均での人口10万人当たりの感染者数は4月23日時点で全国ワーストの約650人。全国平均を400人以上上回っている。補正予算執行率は約6割
コロナ対策で本来の県政運営が十分に機能していないとの見方もある。沖縄県ではコロナで打撃を受けた事業者を支援するため、これまで13回にも及ぶ補正予算を編成したが、総額約1500億円の補正予算の執行率は約6割にとどまる。一方で、飲食業、宿泊業、バス、タクシー業界等からは「十分な支援が行き届いていない」との声も相次いでいる。
責任感に欠ける玉城知事の県政運営に見かねたわが党は、公明党、県議会議長の赤嶺昇氏との連名で昨年5月には「コロナ対策本部長に副知事を充て、知事として取り組むべき県政の諸課題に専念してほしい」と提言したほどだ。公共事業費は7年連続で減少
3月30日に閉会した本年の第1回県議会では、玉城知事の政治姿勢についてわが党会派所属議員が厳しく追及。特に、10年ぶりに3000億円を割り込んだ政府の沖縄関係当初予算について、県連幹事長の島袋大県議会議員は「国に対し意見交換はほとんどなく、自民党への要請も歴代知事より少ない状況だった。対話を求めると言っておきながら、知事は国や自民党と対話することさえしない」と憤る。
また、政府はコロナ禍からの回復のために昨年末に打ち出した大型景気対策で公共事業を前倒ししており、全国の都道府県は公共事業予算の減額は顕著に表れていない。
しかし、沖縄県の公共事業費(ハード交付金)が7年間も連続して減少し、令和四年度のハード交付金は更に前年比20%も減額となった。
島袋幹事長は「市町村の道路、漁港、農地基盤整備等の事業が停滞しまちづくりに影響がでており、中小土木建設業界が不況にあえいでいる。この状況は令和4年度も改善する見通しが立たない」と嘆いている。沖縄県はまさに「県政不況」としか言いようがない状況にあり、わが党は玉城県政の問題点を引き続き県民に広く訴えている。
知事選まであと3か月。沖縄県の方々はじっくり考えて投票先を決めてほしい。