韓国、脱原発政策を破棄し、原発による発電を30%以上に 欧州でも「安定供給には原発必要」
韓国の尹政権が脱原発政策を破棄し、2030年の原子力発電所による発電割合を30%以上に拡大する「新政権エネルギー政策方向」を決定した。
それに伴い、再生可能エネルギーによる発電割合は大幅に縮小する見通し。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は脱原発政策を公式に破棄し、2030年の原子力発電所による発電割合を30%以上に拡大することを決めた。
韓国政府は5日、国務会議(閣議)を開き、30年時点で原発による発電割合を30%以上に拡大することを含む「新政権エネルギー政策方向」を決定し、カーボンニュートラル(炭素中立)とエネルギー安全保障のための原発拡大を公式化した。原発による発電割合30%は、昨年10月の「2030国家温室効果ガス削減目標(NDC)」決定時に示された23.9%を大幅に上回るものだ。産業通商資源部は「(試験稼働中の)新ハンウル原発1号機をはじめ、建設中の原発4基が稼働し、前政権が稼働許可満了時に閉鎖するとしていた原発10基が支障なく稼働を継続するという仮定に沿ったものだ」とし、「建設を再開する新ハンウル3・4号機も完成すれば、原発による発電割合はさらに高まる」との見通しを示した。これを受け、30年時点で18基まで削減される予定だった原発は、少なくとも28基に増えることになる。
原発による発電割合が高まり、当初30年時点で30.2%まで増える見通しだった太陽光・風力など再生可能エネルギーによる発電割合は大幅に縮小するとみられる。産業通商資源部の朴一俊(パク・イルジュン)第2次官は「原発・再生可能エネルギーなどエネルギー源別の具体的な割合は、年末に確定する第10次電力需給基本計画に盛り込まれる」と述べた。
尹政権は電力の安定供給に原発に活用を重要視したようだ。
CO2排出削減を呼びかけた欧州もすでにその動きを見せていた。欧州委員会は年明け早々に、原子力発電を地球温暖化対策に役立つエネルギー源だと位置づける方針を発表した。欧州委のフォンデアライエン委員長は、再エネへの取り組みを強調する一方で、「安定したエネルギー源として原発が必要だ」と訴えている。フランスなど欧州10カ国のエネルギー、環境大臣も「再生可能エネルギーでは安定的な電力供給は困難なので原子力発電が脱炭素には必要」と訴えている。
脱炭素を進めながらも、電力の安定供給に各国迫られている。そのためには再エネオンリーでもなく、原発オンリーでもなく、活用できる発電をバランスよく活用していくことが重要だということだ。
日本も方針を見誤らないようにお願いしたい。