自民が63議席を獲得し、単独で改選議席の過半数を確保 立民はまたも大物議員が落選。野党第一党は維持したものの、比例では維新が上回る
自民党が63議席を獲得し、単独で改選議席の過半数を確保し大勝となった。公明党も13議席を獲得し、自公で76議席獲得。
野党第一党の座を争う立憲民主党と日本維新の会は辛うじて立憲民主党が議席数を上回ったものの、日本維新の会は議席を倍増させていて、比例では立憲民主党を上回った。
第26回参院選(10日投開票)は11日朝、改選124と、非改選の欠員1補充を合わせた全125議席が確定した。
自民党が63議席を獲得し、単独で改選議席の過半数(63)に達し、大勝した。立憲民主党は改選23を大幅に下回る17議席と敗北。日本維新の会は議席を12に倍増させ、比例代表で立民を上回った。公明、共産、国民民主各党は改選議席を維持できなかった。
自民、公明両党と憲法改正に前向きな維新と国民で計93議席となり、改憲発議の条件となる3分の2(166議席)を維持した。
32ある改選数1の「1人区」で自民党は28勝4敗だった。敗北は青森、山形、長野、沖縄にとどまった。前回の2019年参院選は立民など野党4党が全1人区で候補者を一本化して臨み、自民は22勝10敗だった。
公明党は13議席を獲得。候補を擁立した7選挙区で勝利したが、比例は目標の改選7議席に届かなかった。
立民は1人区の岩手、新潟、山梨で現職が敗れるなど選挙区で10議席にとどまった。比例は改選7議席を維持した。
改選6議席の維新は選挙区4、比例8を獲得。比例は野党第1党となった。一方、東京、愛知、京都で議席獲得を目指したが競り負けた。
自民大勝が最も際立ったのが1人区で自民党は28勝4敗だったことだ。立憲民主党のリーダーシップが発揮されず野党がまとまりを欠いた表れが1人区の結果にもろに反映されたと思う。
森ゆうこ参院幹事長、有田芳生議員、白真勲議員と、衆院選に続き今回も大物議員が落選となった立憲民主党の泉健太代表は選挙結果を次のように語った。
選挙結果の大勢が判明しつつあった11日午前0時頃に記者会見した泉健太代表は、「野党が一つにまとまる姿を構築できていない」と、野党同士が対立する中で政権交代や党勢拡大の方向性がうまく見出だせない現状を語った。
「右の野党と左の野党に分かれている」
今回の参院選では、立憲など野党は32ある1人区のうち11選挙区で一本化した。ただ、結果はふるわず、野党側の勝利は4にとどまる見通しだ。新潟では現職の森ゆうこ参院幹事長が落選した。「限定的とはいえ一本化を実現できた地域があるが、そういった地域でも議席を獲得できなかった結果を受け止めねばならない。共闘すれば勝てる、共闘しなかったから勝てなかったという単純な話ではない」
泉氏は“共闘”の難しさについて、「昨年の衆院選以降、右の野党と左の野党に分かれている」と何度も繰り返した。
「同じ野党の中で対決姿勢を見せ、一つにまとまる姿を構築できない環境が続いている。立憲自身が軸を持って信頼される政党として成長されることが大事だと思っている」
「野党一本化」というが、あれだけ日本維新の会を敵視しておいて野党一本化もないと思う。「同じ野党の中で対決姿勢を見せ、一つにまとまる姿を構築できない環境が続いている」と泉代表は述べているが、対決姿勢を鮮明にしたのは立憲民主党だ。菅直人氏を大阪特命担当にしたことがその最たる例だ。野党でリーダーシップをとるのなら懐の深いところを示すべきだが、日本維新の会に対してバチバチの臨戦態勢をとっているようでは有権者も呆れるのは無理ない。
その結果、野党が何としても抱き込みたいはずであった無党派票の多くが自民党に流れた。
出口調査で支持政党がない無党派層に比例選の投票先をたずねたところ、自民党が22%でトップだった。日本維新の会が17%で、16%の立憲民主党をわずかに上回った。自民が無党派層からも多くの支持を集めたことがうかがえる。
3年後の衆院選に向け、野党がどのような形でまとまるかが最も重要な課題となってくるのは間違いない。衆院選に続き、参院選でも議席を大幅に増やした日本維新の会の存在を立憲民主党も軽く見ているようでは与党の圧勝劇は今後も続くと思われる。