アルバニージー首相が豪議会に追悼決議を提出 米上院も追悼決議案を全会一致で採択 それなのに我が国は。。。
アルバニージー首相がオーストラリア連邦議会下院で安倍元総理に対する追悼決議を提出した。その中の演説でアルバニージー首相は「あの恐ろしい日、日本は真の愛国者、真のリーダーを失った。オーストラリアも真の友人、盟友を失った」と述べ、続けて「日豪両国には民主主義や人権といった共通の価値観があり、国際社会のルールを基盤とした秩序を支えることが、お互いの共通の利益である点を、安倍氏は本能的に理解していた」と語っていた。
My tribute to former Japanese Prime Minister Abe Shinzo. 🇦🇺🇯🇵 pic.twitter.com/J3rmf26Bw2
— Anthony Albanese (@AlboMP) July 26, 2022
オーストラリア連邦議会下院
オーストラリア連邦議会下院は、2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相の死に対する、深い哀惜の念をここに記録する。また安倍氏が地域や国際問題、及び日豪パートナーシップに対して行った著しい貢献を称え、ここに記録を残すと共に、彼のご遺族に心からの哀悼の意を表する。
安倍晋三元首相の死の衝撃は、あまりに強いものである。本日ここキャンベラで、日本大使館より来られた大使ご夫妻と私たちの友人を歓迎する。とりわけほんの数年前に彼が演説を行った、この連邦議会下院で哀しみを分かち合うのは、痛恨の思いである。安倍氏の殺害から数日後、私は外務大臣と共に日本大使館を訪れ、山上大使同席の下、オーストラリア連邦議会及びオーストラリア国民を代表して追悼の記帳を行った。
安倍氏が殺害された翌朝にお伝えしたように、彼について過去形で語っているのは信じ難い。あの恐ろしい日、日本は真の愛国者、真のリーダーを失った。オーストラリアも真の友人、盟友を失った。実際、安倍氏がオーストラリアにもたらした友情は、温かい気持ちと著しい成果に満ちたものであった。日豪関係のさらなる強化に力を入れた安倍氏は、首相としてオーストラリアに5回も訪問してくれた。
安倍氏は、日本とオーストラリアの間における、いくつかの歴史的進展の実現に貢献してくれた。この中には、日本で活動するオーストラリア企業に新しい機会を創出した、日豪経済連携協定(日豪EPA)の批准が含まれる。安倍氏はまた、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の不屈の推進者でもあった。彼はまた、日豪関係を特別な戦略的パートナーシップへと高めた。安倍氏が長年にわたり、両国の関係強化を訴えたおかげで、両国は最近署名された日豪円滑化協定を始め、防衛協力を強化することができた。
日豪両国には民主主義や人権といった共通の価値観があり、国際社会のルールを基盤とした秩序を支えることが、お互いの共通の利益である点を、安倍氏は本能的に理解していた。真の政治家にふさわしく、安倍氏のビジョンは、しばしば自己破滅的である今風の政治サイクルの短さを超越していた。これにより、安倍氏は持続的な違いを生み出してくれた。中でも肝要なのは、地域や世界の安全保障に深い影響を与えた、自由で開かれたインド太平洋地域という彼のビジョンであり、日米豪印の枠組み(クアッド)の実現に彼が果たした役割である。
変化と予見不可能な世界において、安倍氏は確実性に満ちた、安心できる存在であった。日本との友好関係は、オーストラリアの国際関係の中心に位置する。両国の友好関係の中心には、温かさが存在する。敬意があり、信頼がある。安倍氏はこれらを体現していた。かつての強い敵意から両国間に友情が育まれたと考える時、この友好関係は一層素晴らしいものとなる。安倍氏はまさに、この点を強く意識していた。下院の場に立ち、第二次世界大戦の惨禍を語った安倍氏は、亡くなった人々や、心身に傷を抱えた多くの残された人々に、お悔やみやいたわりの言葉を捧げた。そして安倍氏は同時に、温かい友好関係の緩やかな幕開けに、また不可能と思えることを可能にした国に感謝の意を捧げた。彼は以下のように語っている。
「皆さんが日本に対して差し伸べた寛容の精神と、友情に、心からなる、感謝の意を表します。 私たちは、皆さんの寛容と、過去の歴史を、決して忘れることはありません。」
四年後の2018年、安倍氏は日本の首相として初めてダーウィンを訪れ、その最中に慰霊碑へ献花を行った。確かに安倍氏は、のどかな時代に首相に選ばれる運命にあったわけではなく、決意を持って課題に取り組んだ。
これ程の勇気と人格を兼ね備えた人物が、このような全くの臆病者の行為で命を奪われるというのは、何とも釈然としない。日本の友人の皆様に、再度呼びかけたい:日本が培ってきた貴重な民主主義は、こうした行為より強い。私たちが共有する、また私たちの社会をひとつにする価値観は、こうした行為より強い。暴力により挙がった手が、実に多くの手が平和裏に成し遂げてきた成果を力で圧倒してしまうのは、決して許されることではない。この残忍な行為が、こうした高い志と共に生きた人生に影を落とすようであってはならない。
安倍氏のご遺族と彼が愛した安倍昭恵夫人に対し、オーストラリア国民による心からの追悼の意を表したい。さらに日本の方々へ、オーストラリアの友人たちは、皆様と深い哀しみを分かち合う。しかし哀しみの渦中においても、私たちは安倍氏の生涯を祝福しなくてはならない。彼の人生は、それほどの成果をもたらすものであった。安倍氏は、日本や私たちの地域で、また世界中で事態を良い方向に変えてくれた。どう判断しても、これこそ良く生きた人生といえる。安倍氏のご冥福をお祈りしたい。
引用元 安倍晋三元首相の追悼決議
20日には米上院が安倍元総理の功績をたたえる追悼決議案を全会一致で採択した。
安倍氏を「世界の自由と繁栄、安全を促進するとともに、権威主義や専制に対抗する今後数十年の日米協力の礎を築いた偉大な友人」と称賛。「一流の政治家であり、民主的価値のたゆまぬ擁護者」だったとしてその死を悼んだ。
決議は、安倍氏が2007年にインド議会で、太平洋とインド洋を結び付ける「歴史的演説」を行ったことが後の「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンにつながったと評価。12年には、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」につながる安全保障戦略を提唱したとして、安倍氏の先見性をたたえた。
安倍政権の下で、日米の外交、防衛、経済各面での連携が進み、日米同盟が深化したと強調。安倍氏が北朝鮮による拉致問題の解決に取り組んできたことや、北朝鮮の非核化に向けた国際社会への働きかけに尽力したことにも触れ、安倍氏の政治家としての姿勢や業績に敬意を表した。
海外での安倍元総理の評価はご覧の通りだ。
それなのに、わが国では尊重されるべき遺族の希望をないがしろにして、言いたい放題の野党と甘利氏に不満がある与党議員の反対と、それを面白がって報じるマスコミのせいで8月5日臨時国会で行う予定だった追悼演説を延期する方向で最終調整していると報じられた。
「演説中に野党が退席したり、ヤジが飛んだりする事態は避けた方がいい」と自民党幹部が判断したと読売新聞は報じた。
追悼演説は当初、同党の甘利明・前幹事長が同5日に行う予定だった。登壇者の人選は安倍氏の遺族の意向とされたが、与野党から「首相経験者の方がふさわしい」などとする声が出ていた。9月27日に執り行われる安倍氏の国葬についても一部野党が反対しており、「演説中に野党が退席したり、ヤジが飛んだりする事態は避けた方がいい」(自民幹部)と判断した。
自民党は、国葬の準備状況なども見極めながら、秋以降の追悼演説の実施を再検討する構えだ。
こんなことを心配しなくてはならないなんて、こんな情けない話はない。