台湾訪問団が蔡英文総統と会談 石破氏「この地域において有事にならないために備えをしておかなければならない」
石破茂元防衛相が団長を務める超党派の台湾訪問団が蔡英文総統と会談した。
台湾の蔡英文総統は28日、訪台している自民党の石破茂元幹事長ら訪問団と総統府で会談し、台湾に対する武力圧力を強める中国を念頭に「日本など民主主義のパートナーと協力を深める」と述べた。石破氏は、日台間で安全保障面の認識共有化を図る必要があるとの考えを表明。双方は地域の安全を巡り協力していくことで一致した。
また、蔡総統は訪問団歓迎の意をツイッターに投稿。
石破茂議員と浜田靖一議員が率いる「日本の安全保障を考える議員の会」の皆様の訪台を歓迎します。本日は地域の平和について踏み込んだ議論を行いました。第一列島線という重要な防衛線上にある台湾と日本は、今後も連携を強め、インド太平洋地域の平和と安定を守っていかなければなりません。 pic.twitter.com/gckIfGFK9N
— 蔡英文 Tsai Ing-wen (@iingwen) July 28, 2022
会談の中で石破氏は「この地域において有事にならないために備えをしておかなければならない」と訴えた。
超党派の国会議員でつくる勉強会「日本の安全保障を考える議員の会」のメンバーが28日、台北市内の総統府で蔡英文(さいえいぶん)総統と会談した。石破茂元防衛大臣は「この地域において有事にならないために備えをしておかなければならない」とし、具体的な対処について意見を交わし、日台間で共通認識を構築することが抑止につながるとの考えを示した。
石破氏は、台湾有事への備えの必要性を訴えた上で、どのような事態を想定し、どのような条約、法律に基づき、どの部隊を運用するのかといった対応策について、「それぞれが共通の理解を持たなければ抑止力にならない」と指摘。「シンパシーを共有するあまり、具体的な詰めが不十分だったのではないかと反省している」と語った。
▽蔡総統「台湾は戦略的に重要な防衛線」
蔡総統は議員団の訪台を歓迎。死去した安倍晋三元首相が台日間の友情を築くのに重要な役割を果たしたとし、哀悼の意を表した。
安全保障については、台湾を守ることは自国の主権を守るためだけでなく、「地域の安全保障において第1列島線上に位置する戦略的に重要な防衛線を守るためでもある」と言及。日本など理念の近い国々と協力し、インド太平洋地域の安定と平和を維持していく姿勢を示した。
▽超党派議員、30日まで滞在
一行は27日に台湾入り。石破氏と浜田靖一元防衛大臣が共同で団長を務め、30日まで滞在する。安倍元首相の死去で台日間のつながりが弱まるのではとの懸念を払拭し、日本の台湾重視の姿勢を改めて示す目的があるとみられる。
欧米の要人の訪台も相次いでおり、今月は欧州議会のベーア副議長やエスパー前米国防長官らが台湾を訪れた。
ジャーナリスト/作家/大東文化大学特任教授 野嶋剛氏
国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院准教授 益尾知佐子氏
もっとも、安全保障は本当に難しく、こちらが押せば相手もますます対抗措置を強化します。その認知ゲームをコントロールし、全体をベターな方向に導くには、政治のアートが必要になります。国家議員の皆様には、話が通じやすい台湾とだけでなく、より難度の高い中国との対話ルートの回復にもぜひご尽力いただきたいところです。