ロシア反対でNPT決裂 自民佐藤氏「国連が機能していないことを前提に、同じ価値観を持つ国々で新たな枠組みを」
世界191カ国・地域が参加する核拡散防止条約(NPT)の再検討会議は、ロシアが唯一合意を拒否したことにより、全会一致とならず、最終文書案を採択できずに決裂した。最終文書案を採択できなかったのは2015年に続いて2回連続。
これに対して、フジテレビの「日曜報道 THE PRIME」に出演した自民党の佐藤正久外交部会長は、国連が機能していないことを前提としたうえで、同じ価値観を持った国々で新たな枠組みのを作ることの必要性を訴えた。
自民党の佐藤正久外交部会長は、フジテレビの「日曜報道 THE PRIME」に出演し、NPT(核拡散防止条約)の再検討会議で、ロシアの反対により、合意文書を採択できなかったことに関連し、対抗する新たな国際連携の枠組みの必要性を訴えた。
自民党・佐藤正久外交部会長「国連というのはあまり機能しないという前提で、新たな価値観を持った国々で、新たな国際秩序を作るという方向に徐々に、かじを切っていく」
佐藤氏は、日米同盟にNATO(北大西洋条約機構)の加盟国を加えるなど、新たな国際連携の枠組みの必要性を強調した。
また佐藤氏は、ロシアが占拠する、ウクライナ南部のザポリージャ原発への攻撃が続いていることについて、「ロシアにしかできない」という見方を示したうえで、「原発を盾にとる禁じ手」だと非難した。
露のウクライナ侵略により、常任理事国相手だと国連が砂上の楼閣であること、相手が核大国だと米国も抑制的なる事が明確化。日本周辺の安保環境を直視すると、国連や日米同盟に加えて、新たな国際秩序創りに本腰を入れないと日本の安全が担保できない可能性も。中国は、台湾や尖閣は国内問題とは整理。 https://t.co/yY56vgh8AJ
— 佐藤正久 (@SatoMasahisa) August 28, 2022
中ロが常任理事国である以上国連が機能しないのは多くの人が指摘している。全会一致を原則とした文書案で、価値観が異なる国が合意しない限りいつまでも話は進まない。
ロシアは、核兵器を使いたいから合意しなかったのか?と思うかもしれないが、もっと姑息だ。
ロシアは26日の会合の数時間前に、同国が占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所に関する記述など5カ所の文言の修正を求めた。ロシアの代表は修正がなければ「採択には応じられない」と明言した。
米国のシャインマン米大統領特別代表(核不拡散担当)は「きょう、コンセンサスが得られないのはロシアの責任だ」と述べた。そのうえで「ウクライナを地図上から消し去ろうとするロシアの明白な意図を隠蔽するものだった」と厳しく批判した。
ウクライナの代表は「ロシアの孤立が浮き彫りになった」と非難した。日本の武井俊輔外務副大臣は「ロシアの反対で合意が得られず残念だ」と述べた。日本や米国、英国、フランスなど55カ国と欧州連合(EU)はロシアのザポロジエ原発への干渉・支配の拡大を非難する共同声明を発表した。
シャインマン米大統領特別代表が指摘するように、隠ぺいに協力しなければ合意しないという話らしい。
こんなことを要求するロシアと価値観が共有できるはずがない。佐藤氏の指摘はごもっともだと思う。しかし、国連は国連として残さなければ、ますます西側と中ロの対立が激化してしまうだろう。