トラス新首相誕生、日本政府はさっそく会談調整 岸田総理「『自由で開かれたインド太平洋』実現に向け、連携を強化したい」
イギリスの与党・保守党の新党首になったリズ・トラス氏がエリザベス女王を訪れ、新首相に任命された。イギリスで3人目の女性の首相となる。
トラス新政権は、ジョンソン政権の政策を継承するとみられている。日本政府は早期の電話会談実施の調整に入ったようだ。
岸田総理は、トラス氏の首相就任を受け、「『自由で開かれたインド太平洋』実現に向け、連携を強化したい」と祝意を伝えるメッセージを出した。
日本政府は、英国のトラス新政権誕生により、安全保障や経済面で両国関係が深化すると期待している。
英国はジョンソン政権下で対中警戒を強め、インド太平洋地域への関与を強化してきた。日本政府はトラス氏も路線を引き継ぐとみている。
岸田文雄首相は6日夜、トラス氏の首相就任を受け、「『自由で開かれたインド太平洋』実現に向け、連携を強化したい」と祝意を伝えるメッセージを出した。早期の電話会談実施も調整している。
ジョンソン政権下で日英間の安保面での連携は強まった。昨年、陸海空自衛隊が英空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群と沖縄南方で共同訓練を実施。海洋進出の動きを強める中国を念頭に置いたもので、同空母はその後、日本に初めて寄港した。
外務省幹部は「ジョンソン首相が政策面でアジアに近づいた。変わらず英国を引き付けたい」と指摘。トラス氏が中国を安保上の「脅威」に認定すると英紙は報じており、首相周辺は「早期に協力を確認したい」と語った。
岸田総理はツイッターに「トラス党首が、強いリーダーシップの下、英国を導いていくことと期待しています。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、緊密に連携していけることを嬉しく思います。」と、投稿し、今後の御活躍を期待している。
慶應義塾大学の細谷雄一教授は「過去100年でおそらく現在の日英関係は最も良い状態だと思えます」と指摘。
日本との関係はどうなる?
お互いを「基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナー」と位置づけている日本とイギリス。イギリスの政治や外交に詳しい慶應義塾大学の細谷雄一教授はトラス氏率いる新政権で関係強化がさらに進むと指摘しています。
「過去100年でおそらく現在の日英関係は最も良い状態だと思えます。この5年ほどの間でインテリジェンスの共有や装備、共同訓練など、日英での協力は飛躍的に改善し、事実上の同盟と言っていい状態にあります。日英関係は明らかに新しい次元へと大きく前進しつつあり、それを促進したのがトラス外相だったことから、首相になった場合もこの方向に進むと思います」
両国の関係は特に安全保障と経済の分野でさらに強化されるものと見られます。
安全保障では、自衛隊とイギリス軍による共同訓練などを円滑に進めるための協定の早期締結を目指しているほか、航空自衛隊の次期戦闘機をめぐっても両国の企業がエンジンの共同研究を始めています。
経済では、トラス氏が国際貿易相として署名した経済連携協定に加えて、イギリスはTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入も申請していて、日本はこれを支持する立場を示しています。
日本としては、イギリスとの結びつきを強めながらもトラス政権の強硬姿勢が世界情勢にもたらす影響も見据えて提言をしていくなど建設的な関係を築くことが重要です。
安倍元総理とジョンソン前首相のもとで日英関係は深まり、安全保障面の連携が深まった。その時のイギリス外相がトラス首相だ。
今後の日英関係がさらに深まることを期待したい。