麻生副総裁が訪韓し、尹大統領と会談へ 徴用工問題について日本企業資産の「現金化」は認められないとする日本の立場を強調
自民党の麻生太郎副総裁が訪韓し、尹大統領と会談が調整されている。
麻生氏は、多数の犠牲者が出た、ソウルで10月29日に発生した雑踏事故に弔意を示すほか、徴用工問題について議論し、差し押さえられた日本企業資産の「現金化」は認められないと日本の立場を強調するとみられている。
自民党の麻生太郎副総裁が2日に訪韓し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談する方向で調整していることが1日、分かった。複数の党関係者が明らかにした。麻生氏は尹氏といわゆる徴用工問題について議論し、差し押さえられた日本企業資産の「現金化」は認められないとする日本側の立場を重ねて強調するとみられる。
一方で、軍備拡大を続ける中国や弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮の脅威に対峙(たいじ)するため、自衛隊と韓国軍の連携の正常化に向けて協議する見通しだ。
麻生氏と言えば、日韓通貨スワップを巡り、協議再開の見通しについては「信頼関係で成り立ってますので、約束した話を守られないと貸した金も返ってこない可能性もある。私どもとしては少なくともスワップやるやらないの話で信用関係ができ上がらなくなってきている。難しくなってきている」と懸念を示し、日韓通貨スワップ協定再開を要求する声が韓国から出ていることについては「6~7年前ぐらいに(スワップ協定の残額が)日本銀行に50(億ドル)、財務省に100(億ドル)ほど残っていたが、(韓国に)『大丈夫か』と確認したところ、『大丈夫だ』との返事が返ってきた。だからそれ(通貨協力の規模が)が減った。その時、『本当にいいのか』と聞いたら、韓国は『(どうか)借りてくださいと(日本が)言うなら、借りることもやぶさかではない』と答えた。(金を貸す側が)頭を下げて『借りてほしい』などという話は聞いたことがない。(それで)交渉テーブルを蹴って(交渉から)撤収した。それで終わりだ。スワップに対して韓国との間にあったのはそれが最後だった。今はどうなっているのかよく知らない」と、韓国に毅然とした態度を示したことが有名だ。
徴用工訴訟問題の解決に向け、韓国の財団が日本企業の賠償金を肩代わりする案が軸となり調整されているという報道もあり、外務省への不信感も募っていた。外務省が間に入ると妙な妥協点を見出し、譲歩しかねない。それだけに、麻生氏がしっかりと日本の立場を尹大統領に直接伝えることが期待されている。