統一地方選の結果受け、蔡英文総統が党トップを引責辞任。2018年も大敗し辞任したが2020年の総統選では圧勝。再来なるか
台湾で行われた統一地方選挙で、与党・民主進歩党が大敗した。その結果を受け、蔡英文総統が党トップを引責辞任すると発表。総統としての職務は続けるが、政権への影響は大きいはずだ。
一方、大勝した国民党は親中政党ともいわれ、中国との関係強化を図っている。
ネット上では「このまま台湾は中国のものになってしまうのか?」といった懸念の声もあがっていた。
台湾で26日、総統選挙の前哨戦となる統一地方選挙が投開票され、与党・民主進歩党が大敗し、蔡英文総統が党トップを引責辞任すると発表した。
今回の統一地方選挙は、21の首長や議員などおよそ1万1,000人が選出され、蒋介石のひ孫で国民党の蒋万安氏が台北市長選で勝利するなど、主要都市で最大野党の国民党が勝利した。
民主進歩党は、5つの首長ポストしか獲得できず、蔡英文総統は、党主席を引責辞任すると発表した。
蔡英文総統「われわれは、選挙の結果と台湾の人々の決定を謙虚に受け止める。わたしは民進党主席を辞任する」
民主進歩党は選挙戦で、中国への対抗を訴えたものの、物価高などのテーマが重視され、有権者の支持獲得にはつながらなかったとみられる。
中国はこの結果を歓迎しているようだ。
台湾の選挙結果を受けて、中国国務院台湾事務弁公室の報道官は26日夜、「今回の結果は、平和と安定とよりよい生活を求めたい民意の反映だ」とする談話を発表しました。
そのうえで、「我々は台湾同胞と団結し、中国と台湾の関係の平和的発展と統合を推進する」としています。民進党政権に強い警戒感を抱く習近平政権は、今回の選挙結果を歓迎しているものとみられ、今後の中国と台湾の関係に変化をもたらす可能性もあります。
さて、中国の思惑通りに進むのではないかと思われるが、2018年の統一地方選挙でも民主進歩党は大敗し、蔡氏は党主席を辞任。政権交代の可能性が非常に高くなったと予想されていたが、2020年の総統選では蔡氏が圧勝した。地方選挙の結果がそのまま国政選挙に反映されると言えないのが台湾の政治のようだ。
今回の地方選の論戦は内政問題で、民主進歩党は有効な政策を示すことができず、逆に新型コロナウイルス対策などの批判をかわすことができずに国民党を勢いづかせたといわれている。蔡氏は選挙戦終盤で、台湾への圧力を強める中国への対抗を強く訴えたようだが、時すでに遅かったようだ。
総統選での論争が「中国による圧力への抵抗」「台湾の未来は台湾人によって決められるべき」といった対中政策になれば2020年の再来もあり得るかもしれない。