参院で「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」可決「中国」「人権侵害」明記見送る⇒議場では「当該国ってどこだ」
参議院で、中国の新疆ウイグル、チベット、南モンゴル(内モンゴル)の各自治区、香港などでの人権問題を巡る、「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が可決された。
2月に採択された衆院決議と同じく「中国」や「人権侵害」といった文言の明記は見送られた。
参院は5日午前の本会議で、中国の新疆ウイグル、チベット、南モンゴル(内モンゴル)の各自治区、香港などでの人権状況を巡り「深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で当該国政府が説明責任を果たすよう、強く求める」とする決議を自民党などの賛成多数で採択した。今年2月に採択された衆院決議と同じく「中国」や「人権侵害」といった文言の明記は見送られた。
名称は「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」。
「力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識する」とし、政府に対し「国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施すべき」と強調した。
決議採択後に所信表明を行った林芳正外相は「ウイグルの人権状況に対し、価値観を共有する国々と連携しつつ取り組んでいる。決議の趣旨も踏まえ、政府として着実に取り組んでいる」と述べた。
「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」全文。
近年、国際社会から、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における、信教の自由への侵害や、強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている。人権問題は、人権が普遍的価値を有し、国際社会の正当な関心事項であることから、一国の内政問題にとどまるものではない。
この事態に対し、一方的に民主主義を否定されるなど、弾圧を受けていると訴える人々からは、国際社会に支援を求める多くの声が上がっており、また、その支援を打ち出す法律を制定する国も出てくるなど、国際社会においてもこれに応えようとする動きが広がっている。そして、日米首脳会談、G7、国連人権高等弁務官事務所等においても、人権状況への深刻な懸念が共有されたところである。
このような状況において、人権の尊重を掲げるわが国も、日本の人権外交を導く実質的かつ強固な政治レベルの文書を採択し、確固たる立場からの建設的なコミットメントが求められている。
本院は、深刻な人権状況に象徴される力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識するとともに、深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で当該国政府が説明責任を果たすよう、強く求める。
政府においても、このような認識の下に、それぞれの民族等の文化・伝統・自治を尊重しつつ、自由・民主主義・法の支配といった基本的価値観を踏まえ、まず、この深刻な人権状況の全容を把握するため、事実関係に関する情報収集を行うべきである。それとともに、国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施すべきである。
右決議する。
引用元 ウイグルなど人権、参院決議全文
議場では「当該国ってどこだ」というヤジが飛んでいたそうだ。
議場では「当該国ってどこだ!はっきり言え!」というご尤もなヤジが飛んでおりました… https://t.co/9II8UAbWIE
— 小野田紀美【参議院議員_岡山選挙区】 (@onoda_kimi) December 5, 2022
ロシアに対してと中国に対して明確に対応が違うのは、日中の経済関係が背景にあるのは明らかだ。だが、政府は中国に対して「言うべきことはしっかり言わなければならない」と主張していただけに、この決議は残念で仕方ない。