【是々非々】維新、憲法改正・安全保障・エネルギー政策の３分野を通常国会で自民と協力。馬場代表「物事を前に進めていく国会を目指す」
２３日からの通常国会において、日本維新の会は「防衛費増額に伴う政府の増税方針の反対」などについて、立憲民主党と共闘していくことで一致した一方で、憲法改正、安全保障、エネルギー政策の３分野では自民党と協力して議論を前に進め、具体化していく方針で一致したようだ。
自民党の茂木敏充幹事長と日本維新の会の馬場伸幸代表ら両党幹部が１７日、国会内で会談し、２３日召集の通常国会で、憲法改正、安全保障、エネルギー政策の３分野で「協力して議論を前に進め、具体化していく」（茂木氏）方針で一致した。維新が重視する国会改革についても会期中に結論を得ることで合意。召集直前に与野党幹部がこうした会談を行うのは異例で、自民側には、維新と立憲民主党の連携にくさびを打ち込む狙いがありそうだ。
「より幅広いテーマで（維新と）協力を進めたい」。茂木氏は会談後、記者団にそう強調。改憲を巡っては優先項目の絞り込みやスケジュールについて維新と連携する考えを表明し、安保やエネルギー政策でも「基本的な方向は一致している」との認識を示した。
国会改革に関しては「議論し、結論を得る」と明言。国会の委員長手当の廃止や、国会議員に月額１００万円が支給される調査研究広報滞在費（旧文書通信交通滞在費）の透明化が焦点となる。
自民はこれまで国会改革には消極姿勢が目立ったが、態度を一変させたのは昨年の臨時国会の教訓がある。維新と立民の連携により、政府・与党は世界平和統一家庭連合（旧統一教会）問題で押し込まれ続けた。今回は「二の舞い」を避けるべく動いた格好で、維新と立民で隔たりが大きい３分野での協調には「野党分断」の狙いも透ける。
一方、維新にも思惑がある。自民と立民を「両てんびん」にかけ、具体的な果実を得ていく戦略だ。
維新は岸田文雄政権が検討する防衛費増額に伴う増税方針に対しては「身を切る改革」や行財政改革の先行を主張。通常国会では「増税反対」で立民と連携する方針で、両党など野党６党１会派は１７日にも国対委員長会談を開いて「増税路線にくみしない」（立民の安住淳国対委員長）方針で一致した。
ところが、野党が結束を確認したはずの会談の後、国会内の同じ部屋で行われたのが自民と維新の幹部会談だった。馬場氏は会談後の記者会見で「物事を前に進めていく国会を目指す。（相手が）自民でも立民でも、基本的な方針には変わりない」と語った。
野党の共闘について、国民民主党の古川元久国対委員長は「立憲さんと維新さんが作られるチームには参加はしない。我が党としての考え方は、我が党として決めたうえで協力できるところがあれば、当然そこは政策ごとに協力していく」と語り、共闘参加を否定していたが、記事を見る限りでは日本維新の会も国民民主党と同じスタンスで通常国会に臨むことになりそうだ。
「維新にも思惑がある。自民と立民を「両てんびん」にかけ、具体的な果実を得ていく戦略だ」と記事にあるが、そうとは思わない。もともと日本維新の会は維新の党の時から「是々非々」のスタイルを表に出していて、２０１５年の労働者派遣法の改正では与党案に賛成をし、２０２１年の衆院選後には政府与党に「是々非々」で対峙する現実路線の野党として、国民民主党と共に国会運営で連携していく方針を示している。一方では２０２２年１１月２９日に行われた衆院本会議での令和４年度第２次補正予算案の採決では、立憲民主党などと共に反対している。結党以来テーマごとに与党に対峙したり協力している党だ。
「自民側には、維新と立憲民主党の連携にくさびを打ち込む狙いがありそうだ」かもしれないが、日本維新の会は従来の姿勢を取っているに過ぎない。
立憲民主党はどう思うか。安住淳国対委員長は野党の共闘について「岸田政権に対峙していくということでは各党一致できたのではないか」と語っており、野党一丸になって岸田政権に対峙すると述べた矢先に共闘するメンバーのはずの日本維新の会が限定されたテーマとはいえ、自民党とも協力することを明かされては心中穏やかでないと察する。
また、共産党の穀田恵二国対委員長は「維新は野党だと考えていない」と指摘していたが、その批判も一層強まりそうだ。