北海道電力が値上げ申請。ただし、「(原発が)再稼働したら値下げする」
国会でも重要なテーマになっているエネルギー問題。一部野党は岸田政権が原子力発電をめぐる方針の転換を正式に決めたことについて追及する姿勢を示していて、重要なテーマの一つとなっている。
そんな中、東京電力が3割の値上げを国に申請する方針を示したことが話題となっていたが、北海道電力も家庭向け規制料金の値上げを経済産業省に申請したと発表した。ただし、泊原子力発電所が「再稼働したら値下げする」そうだ。
北海道電力は26日、国の認可が必要な家庭向け規制料金の値上げを経済産業省に申請したと発表した。値上げ率は平均32・17%で、平均的な使用量(月230キロ・ワット時)の家庭で2838円増の月額1万1700円となる。6月1日からの実施を目指しており、実現すれば2014年以来9年ぶりの値上げとなる。
北海道電の規制料金の契約は約240万世帯で、家庭向け全体の4分の3を占める。藤井裕社長は記者会見で「お客様に負担をお願いせざるを得なくなり、誠に申し訳ない」と述べた。
電気料金には火力発電で使う燃料費の変動分を反映させる仕組みがあり、規制料金では上限価格が設定されている。燃料価格の高騰を受け、北海道電では昨年8月分の料金から上限価格に達し、料金で回収できない部分の負担が収益を圧迫する要因となっていた。
停止中の泊原子力発電所の再稼働については、原子力規制委員会による安全審査が終わっておらず、値上げ率の算定には盛り込まなかった。原発が稼働すれば火力の燃料費削減につながるため、藤井社長は「再稼働したら値下げする」としている。
電力大手では昨年11月以降、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄の6社が規制料金の値上げを経産省に申請。北海道電は7社目となる。申請ベースの値上げ率は平均28~45%だが、国の審査によって圧縮される見通しだ。
一方、中部、関西、九州の3社は規制料金の値上げ申請を行っていない。このうち関電や九州電は一部の原発が稼働しており、電源構成に占める火力の割合が低いことも影響している可能性がある。
一部の野党議員が、「原発がなくても再生可能エネルギーで十分賄える」と訴えていたが、現実的にはこの通りだ。目前に迫った値上げに対応できる手段は原発再稼働が最も効果的な手段なのだ。
岸田総理は施政方針演説で「エネルギーの安定供給に向けては、多様なエネルギー源を確保しなければなりません。
長年の懸案となっていた、北海道・本州間の送電線整備など再エネ最大限導入に向けた取組に加え、安全の確保と地域の理解を大前提として、廃炉となる原発の次世代革新炉への建て替えや、原発の運転期間の一定期間の延長を進めます」の述べていた。
2021年3月31日、国際エネルギー機関(IEA)及び英国が共催する「IEA-COP26ネットゼロサミット」がテレビ会議形式で開催され、梶山経済産業大臣(当時)が参加し次のように述べていた。
梶山大臣は、国際エネルギー機関(IEA)と英国が主導するIEA-COP26ネット・ゼロ・サミットに出席しました。あらゆるエネルギー源、あらゆる技術を活用し、現実的かつ多様なアプローチに基づいたエネルギー・トランジションと、エネルギー安全保障の確保の両立について、重要性を強調しました。 pic.twitter.com/7ePxTkMbxq
— 経済産業省 (@meti_NIPPON) April 1, 2021
再生可能エネルギーについては否定しないが、現段階で我が国で何か一つのエネルギーに依存するのは現実的でないのだ。実際に考えても太陽光エネルギーは蓄電技術などをもっと進歩させないと、天候不良時や夜間に発電できない状況を乗り越えられない。また、火力の燃料費も下がる気配を見せない中、電力を安定供給させるには今ある原発を最大限活用するのが最も効果的だと考える。
原発反対もいいが、もっと現実的に考えて、まずは電力の安定供給に即効性のある対応を議論していただきたい。電力各社の値上げ申請が通ってしまえば、国民に負担が多くのしかかる。そして、その時期はすぐそこなのだ。