防衛省、過去に日本上空で確認された飛行物体について「中国の無人偵察用気球であると強く推定される」⇒自民・小野寺氏「日本の国防に穴がある懸念から排除は必要」佐藤氏「なぜ、対応しなかったのか？説明が求められる」
防衛省は１４日、過去に日本の領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体について「更なる分析を重ねた結果、当該気球は、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されるとの判断に至りました」と発表した。
２０１９年１１月、２０２０年６月及び２０２１年９月のものを含め、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体について、更なる分析を重ねた結果、当該気球は、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されるとの判断に至りました。
これを受け、本件について、外交ルートを通じて、中国政府に対して、事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないよう強く求めるとともに、外国の無人偵察用気球等による領空侵犯は断じて受け入れられない旨を申し入れました。
気球であっても、我が国の許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となることから、防衛省としては、今後とも、外国政府の無人偵察用気球を含め、気球に対して、これまで以上に情報収集・警戒監視に努めてまいります。
この発表を受け、自民党の小野寺五典元防衛相は「日本の国防に大きな穴があるのではないか」と懸念を示し、今後の対応について政府に説明を求めていく考えを明かした。
自民党国防、#安保調査会 で #中国偵察気球 問題を議論。政府は過去日本で確認された気球が中国のものと強く類推されると公表、会議で武器使用による排除も検討と示唆。日本の国防に穴がある懸念から排除は必要です。武器使用での対処方針を精緻に検討するよう要請しました。https://t.co/IzROvv0YOE
— 小野寺 五典 (@itsunori510) February 15, 2023
これについて自民党の安全保障調査会の会長を務める小野寺・元防衛大臣は、15日朝に開かれた自民党の会合で「いままで中国のものということを把握できていなかったのであれば、大変大きな問題だ。仮に把握していたのにいままで抗議していなかったということであれば、さらにもっと大きな問題だ」と指摘しました。
その上で「わが国の防衛にとって、もしかして大きな穴があるのではないかと心配をもたらす事例だ。浜田防衛大臣は今後必要な処置をとるとしており、アメリカと同じように撃墜を含めたきぜんとした対応をとると受け止めているが、今後の対処のことも政府側から話を聞きたい」と述べ、政府に説明を求めていく考えを示しました。
同党の佐藤正久外交部会会長は「これまで、なぜ、対応しなかったのか？情報は取られ放題だったのか、説明が求められる」とツイートした。
【防衛省が正式に発表した以上、これまで、なぜ、対応しなかったのか？情報は取られ放題だったのか、説明が求められる→日本領空の過去の飛行物体 防衛省「中国の気球と推定」 】 https://t.co/jXu31EQCrk
— 佐藤正久 (@SatoMasahisa) February 14, 2023
今の様子だと、米国が中国を非難したから、日本も「過去にこんなことがあった」と便乗して非難しているような形になってしまっている。米国の案件とは別件として日本独自で中国に強く非難していただきたい。
非難や抗議についても、防衛省は「本件について、外交ルートを通じて、中国政府に対して、事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないよう強く求める」としているが、果たして外交ルートで訴えてどれだけ聞き入れるだろうか。共同通信は１５日「中国外務省は15日までに、米国の主張に追随しないよう日本を繰り返しけん制した」「中国は韓国に対しても気球の問題で米国に同調しないよう要求。中国への国際的な批判が高まるのを警戒している」と報じた。中国は「日本は騒ぐな」と押さえつける気満々だ。いつものごとく右から左に聞き流されるだけだろう。外交ルートなどあてにせず、防衛相電話会談の打診など、防衛相が直に中国に訴えた方がまだ聞き入れられる余地があると思うのだが。
また、紹介した両議員は政府に説明を求めるようだが、過去の対応しなかったことへの説明はさることながら、小野寺氏が訴える今後の対応については是非説明してほしい。そして、国民が抱える懸念を排除できるように、早急に監視体制の強化や迎撃体制の構築など対応力強化を図っていただきたい。そのためには、小野寺氏や佐藤氏の様な議員には、どんどん政府に突っ込んで尻を叩いてくれることを期待する。