玉城知事「外部環境の変化に強い再生可能エネルギーの導入を拡大する」と、洋上風力と離島における太陽光発電に意欲
玉城デニー沖縄県知事は、「外部環境の変化に強い再生可能エネルギーの導入を拡大する」と洋上風力発電設置に意欲を示した。
また、離島における太陽光発電設置にも意欲を示したそうだ。
沖縄県の2023年度当初予算案を審議する県議会予算特別委員会(比嘉瑞己委員長)は20日、玉城デニー知事を招へいして総括質疑を実施した。電気料金の値上げ申請をした沖縄電力が化石燃料への依存度が高いことを受けて、玉城知事は「外部環境の変化に強い再生可能エネルギーの導入を拡大する」と述べた。23年度は新たに洋上風力発電に適した候補地を探す調査を実施する考えを示した。
合わせて玉城知事は「離島における蓄電池の設置を含む太陽光発電について予算を拡充する。水素、バイオマス発電の利活用等に向けた可能性調査も行う」と述べた。瀬長美佐雄氏(共産)と仲村未央氏(立憲おきなわ)への答弁。
与那原町と西原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区に整備する大型MICE(マイス)施設について、県は民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式で整備する方針を改めて示した。宮城嗣吉文化観光スポーツ部長は23年度はPFI法に基づく実施方針条例案を県議会に提案し、議決を得られれば実施方針を策定、24年度に入札公告、26年度に事業者と契約を締結するとしたスケジュールを示した。
委員からMICE施設の採算性について問われた玉城知事は、当初想定した施設需要の変動に応じて県が収益減少分を穴埋めする「ロスシェアリング」と、反対に収益増加分を受け取る「プロフィットシェアリング」の導入を検討すると明かした。
玉城知事は「需要調査に基づく試算と(民間事業者からアイデア提案を受ける)サウンディング調査などの結果を踏まえると、採算性は確保できると見込んでいる」と述べた。中川京貴氏(沖縄・自民)への答弁。
しかし、沖縄の海を守っていくのではなかったのか?
辺野古・大浦湾ホープスポット認定記念看板設置除幕式に参加しました。
辺野古・大浦湾一帯は世界に誇る「美ら海」です。この自然環境が沖縄の東海岸全体の環境を守っていると言っても過言ではない場所です。ぜひ、この海を守っていくためにも、辺野古の新基地建設を断念させましょう。 pic.twitter.com/9DJRfxlnav
— 玉城デニー (@tamakidenny) August 14, 2022
J-STAGEの抄録にはこう記されている。
近年、陸上の建設適地の不足や電力供給の安定性から、大規模な洋上風力発電施設(洋上風発)が世界各地に建設されている。洋上風発は、建設や運用に関して多くの経済的利点を保有している一方で、海洋生物へ様々な影響をおよぼす。洋上風発建設前の探査や掘削により発生する騒音は、魚類や海棲哺乳類の音声コミュニケーションを阻害する。洋上風車の設置は、海洋生物の生息場所を減少させるばかりでなく、局所的な海洋環境を変化させることを通してさまざまな海洋生物の生残や繁殖に影響をもたらす可能性がある。また、洋上の風車と鳥類が衝突する事故は多数確認されている。風車との衝突を避けるために、多くの鳥類が採餌や渡りの際に風車を避けて飛翔する。この風車回避行動は、鳥類の飛翔距離の増加を招き、その分、飛翔エネルギーコストが上昇すると考えられている。今後、より多くの海域や分類群を対象とした長期的な影響評価が必要である。洋上風発が海洋生物におよぼす影響を軽減するためには、多くの鳥類や海棲哺乳類が利用する渡り・回遊ルートや採餌域を避けた建設地の選定、騒音の発生を抑えた工法、渡り・回遊や繁殖の時期や時間帯に配慮した運転などが求められている。
辺野古移設においては、沖縄の海の自然環境を守ると言っていたのに、矛盾しているのではないか?
東京都が伊豆大島に洋上風力発電を設置する計画を発表をした際にも、サンゴなど生態系に影響を与え環境にも影響を与えるといったデメリットも指摘されている。
玉城知事は「外部環境の変化に強い再生可能エネルギーの導入を拡大」というが、洋上風力は無風状態では発電されないし、日照がなければ太陽光は発電しない。「外部環境の変化に強い」には疑問視せざるを得ない。また、台風が多い沖縄において、安全性も疑問視される。
コスト面においても離島においての管理費などのコスト高は懸念材料となっている。採算性が確保できるか疑問視されるのも仕方ない。
とはいえ、離島のエネルギー問題は深刻な問題で、エネルギー高騰も影響しているので急がなければならない課題だ。再生可能エネルギーの導入を拡大することについては、環境面への配慮、採算性、安全性が確保されれば反対することではないと考える。しかし、基地問題では「沖縄の海を守る」と訴え、猛烈に反発しながら、一方では、環境破壊になりかねない洋上風力を安易に推進するといった矛盾した考えには疑問を抱かずにはいられない。